糖尿病とホルモンバランス-その1

糖尿病とホルモンバランス-その1

目には見えないけれども、我々の体のバイオリズムをつくっているものの一つに「ホルモンバランス」があります。

読んで字のごとく、体内におけるホルモンのバランスのことですが、これらは我々の健康に大きな影響を与えていて、そのインパクトは大きく、糖尿病でない人であってもホルモンバランスの影響をかなり受けています。

では糖尿病がある人にとってはどうなのでしょうか?

今回は、意外と知られていない糖尿病とホルモンバランスの絶妙な関係についてお話しますね。

ホルモンバランスとは?

ホルモンバランスと聞いて、真っ先に思い浮かべるものといえば、女性における性ホルモンの変化だと思います。
女性は、月経周期の移り変わりだけでなく、妊娠や出産、更年期といったライフイベントによってホルモンバランスが大きく変化し、それに応じて心身に影響を受けることが知られています。

糖尿病のある女性の場合、性ホルモンのバランスがインスリン抵抗性に影響をもたらし、結果、病状が悪化することがよくあります。
例えば1型糖尿病の女性では、月経前後にインスリン投与量が増えることがあります。そう、女性のホルモンバランスと血糖コントロールは結びついているのですね。

いえ、女性だけではありません。男性も同様に、糖尿病の場合、ホルモンバランスに応じて治療を変える必要があるといわれています。糖尿病とホルモンバランスの関係について詳しくみていく前に、ホルモンバランスそのものについて簡単に説明しましょう。

ホルモンを分泌する器官を内分泌腺といいます。脳下垂体、甲状腺、腎臓、膵臓、生殖器といった内分泌腺からは、約17種類のさまざまなホルモンが血液中に分泌されていて、それによって内臓や器官の働きが調節されています。その一例が前述の性ホルモンです。
ほかにも、成長を促す成長ホルモンや、代謝を促進させる甲状腺ホルモンなどがあります。インスリンは膵臓から分泌されるホルモンの一つです。これらのホルモンは、互いに連携しながら作用しています。その絶妙なバランスをホルモンバランスと呼ぶのです。

絶妙であるがゆえに、ひとたびホルモンバランスが崩れると、その影響は全身に及びます。女性であれば、月経不順やニキビやむくみといった症状があらわれます。また男女問わず、めまいがしたり、肩こり、手足の冷えなどが起こります。ほかにも、イライラやうつ傾向、不眠といった精神面での影響も出てきます。

ホルモンは、50メートルのプールにスプーン1杯溶かした程度の微量でも、全身に作用するといわれています。そのようなメカニズムですから、何らかの理由でホルモンバランスが少し乱れるだけで、全身に大きな影響が出てしまうのです。

糖尿病とホルモンバランス その1

では、糖尿病とホルモンバランスの関係についてみていくことにしましょう。その密接な関係が最も顕著にみられるのが、女性における性ホルモンのバランスです。

女性ホルモンには、エストロゲンと呼ばれる黄体ホルモンというものと、プロゲストロンと呼ばれる卵胞ホルモンというものの2種類があります。女性はこのエストロゲンとプロゲステロンが関係するホルモンバランスによって、性を維持しています。

月経が終わり更年期に差し掛かると、これら2つのホルモンバランスは変化を迎えることになります。それは次のような変化です。

エストロゲンはもともと子宮を発達させ、女性らしい身体をつくるように働きかけます。同時に、コレステロールの増加を抑制し、筋肉と脂肪の調和が取れた体型をつくる効果があります。しかしながら、20代をピークにエストロゲンは減少していくことが知られています。女性が体型の変化を気にし始めるのはこのころです。

そして更年期に差し掛かると、エストロゲンはさらに減少し、相対的にプロゲストロンが増えていきます。
2つの女性ホルモンが逆転するかのようにバランスが変わると、これと同調するように自律神経が刺激されて、自律神経の働きも乱れてきます。そのようにして、更年期症状として知られるさまざまな症状が起こるわけです。

運動が減り筋肉量が低下するため、基礎代謝も低下します。基礎代謝が下がると、運動を行っても体重や皮下脂肪が落ちにくくなります。これまでと同様の運動療法をしていても、なかなか血糖値が下がらなくなります。

エストロゲンにはインスリンの効きをよくする性質があります。少量のインスリンでも十分な効果を発揮することをインスリン抵抗性が小さいといいます。ところが、プロゲストロンには、全く逆で、インスリンの働きを抑え、インスリンを壊す酵素を間接的につくる作用があります。

そのため更年期に差し掛かるとインスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上昇しやすくなります。更年期以降の女性が、糖尿病が発症しやすくなったり、糖尿病の治療が難しくなったりするのには、こういった理由があったんですね。

更年期以外でも、ホルモンバランスの乱れのために、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病が発症する時期があります。それは妊娠期です。
妊娠期には、それまでに糖尿病と縁がなかった人が突然発症することがあり、これを妊娠糖尿病と呼んでいます。妊娠糖尿病は、ホルモンバランスの乱れのために発症する糖尿病の代表格です。

ふつう、食べたものは消化、吸収されてブドウ糖になり、血液の中に入りこみます。ついで膵臓から分泌されたインスリンの作用によって、血中から全身へとブドウ糖が取り込まれていきます。ところが妊娠すると、胎盤から前述のプロゲステロンが多く分泌されるようになります。プロゲステロン量に比例するようにしてインスリン抵抗性が上がり、結果として高血糖となってしまうというわけです。

今回のまとめ

女性ホルモンだけでなく、さまざまなホルモンが絶妙なタイミングで分泌されることで私たちの体は健康を維持しています。

それがバランスを失うと、糖尿病のコントロールもた難しくなることを覚えておきましょう。

・内分泌腺を通し、約17種類のホルモンが絶妙なバランスで分泌されている

・ホルモンバランスが乱れると、さまざまな症状が引き起こされる

・妊娠期や更年期はプロゲステロンとエストロゲンのバランスが乱れやすい

・プロゲステロンが増加すると、インスリン抵抗性が高くなる

→ 関連項目 糖尿病と肝臓のお話 -その1

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