女妊娠糖尿病になると、母体や胎児にさまざまな悪影響を及ぼします。食事管理によって、正しい食生活を送ることが大切です。今回は、そのために必要な食材や食べてはいけない食材などをご紹介します。
妊娠糖尿病とは
妊娠糖尿病とは、妊娠に伴う糖代謝異常のことをいい、糖尿病には至らない軽度なものを指します。発症率は12%で、今まで糖尿病の疑いがなかった方でも発症することがあります。母体の血糖コントロールが悪い状態が続くと、羊水過多症や妊娠高血圧症候群、流産、死産などのリスクが高まります。また、巨大児や低出生体重児、子宮内発育遅延、先天性奇形など胎児に悪影響を及ぼすこともあります。
妊娠糖尿病の治療法
妊娠糖尿病の治療は、胎児への負担を考えて薬による治療を行いません。食事管理によって症状を改善していくのが基本です。血糖値は血液中の「ブドウ糖」のことで、食事で摂取した糖質が分解されてできています。そのため、血糖コントロールを行うには食事管理が非常に重要になります。
食事管理のポイント
妊娠中は、母体と胎児の健康のために必要な栄養素の摂取が不可欠であり、一定の体重増加も必要です。妊娠糖尿病と診断されたからといって、体重が減少するような極端な食事制限は厳禁です。まずは1日に必要な総摂取カロリーを知り、必要以上に食べすぎないことが大切です。
母体と胎児の健康を維持するためには、炭水化物、タンパク質、植物繊維、脂質、ビタミン、ミネラルの栄養バランス正しく摂ることが大切です。普段、献立を考える際には、主食、主菜、副菜をそろえることを意識すると手軽に栄養バランスを整えることができます。主食とはご飯・パン・麺・芋などの炭水化物、主菜とは肉、魚、大豆製品などのタンパク質や脂質の供給源、副菜とは野菜、きのこ、海藻などの食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの供給源です。
中でも積極的に摂りたいものは、「鉄分」や「タンパク質」、「カルシウム」、「葉酸」、「食物繊維」です。以下では、それぞれの栄養素の役割についてご紹介します。
・鉄分
鉄分は、酸素を全身に供給するために欠かせない栄養素です。妊娠中は優先して胎児に血液が運ばれるので、母体は鉄分不足になりやすいのです。鉄分は、あさりやしじみ、小松菜、納豆などに含まれています。
・タンパク質
タンパク質は人間の体の主成分で、血液や臓器、筋肉、皮膚などをつくるために欠かせない栄養素です。魚類や大豆製品、卵からの摂取がおすすめです。お肉にも良質なタンパク質が含まれていますがカロリーオーバーが気になるので、脂身の少ない赤身や鶏肉を選ぶようにしましょう。
・カルシウム
カルシウムは、胎児の歯や骨をつくる上で欠かせない栄養素です。日本人はカルシウムが不足している人が多いので、妊娠中は特に意識して摂取しましょう。カルシウムは、乳製品や大豆製品に多く含まれています。
・葉酸
葉酸は、胎児の細胞分裂や成長を促し、発育を助ける栄養素です。妊娠初期に積極的に摂ることで胎児の先天性異常のひとつである「神経管閉鎖障害」の発症リスクを抑えることができます。葉酸は、普段から「野菜をあまり食べない」という方が不足しやすい栄養素です。枝豆やほうれん草、ブロッコリーなどに含まれているので、1日480μgの葉酸を摂ることを意識しましょう。
・食物繊維
食物繊維は、ブドウ糖の吸収速度をゆるやかにし、急激な血糖値の上昇を防ぐ栄養素です。さつまいもや大根などの根菜類やわかめや大豆などの乾物に多く含まれています。食物繊維は便秘がちな妊婦にもよいとされています。
控えておくべき食材は、「糖質」と「塩分」です。糖質は、血糖値を上昇させます。ただしエネルギー源としては必要なのでご飯やパンなどの主食は減らさずに甘いものを控えるようにして調節します。塩分は、摂りすぎると「妊娠高血圧症候群」のリスクを高めてしまいます。1日の塩分摂取量は6~8g程度に抑え、薄味を心掛けることが大切です。また、空腹時に一気にたくさん食べると、血糖値が急上昇する原因になるため注意が必要です。
妊娠糖尿病になると、母体や胎児にとってさまざまなリスクがあります。母体と胎児の健康を考え、正しい食生活を心掛けることが大切です。
→ 関連項目 血糖値を下げる食事のしかたとは?
↓ ↓ 下記をクリック ↓ ↓