糖尿病-ちょっとした風邪が大変な事態に!?-その1

糖尿病-ちょっとした風邪が大変な事態に!?-その1

「手洗い・うがいにマスク」をしっかりしていたとしても、知ら
ぬ間にかかっているものといえば「風邪」。

朝起きて喉が痛かったり、会社帰りに熱っぽかったりすると、
「しまった!風邪ひいちゃったかも」と思いますね。

「風邪くらいだれでもひくだろう、大げさな」と感じる人がいる
かもしれません。だけど、糖尿病をもつ人たちにとってはその風
邪が一大事になることも─。

たかが風邪、されど風邪。
避けては通れぬ「風邪」と糖尿病の関係をご紹介いたします!

糖尿病だと風邪をひきやすく、治りにくい?

糖尿病の人にとって風邪が鬼門であることをご存じの方は、意外
と少ないようです。ある研究によれば、糖尿病をもつ人はそうで
ない人に比べて、風邪にかかりやすく、治りにくいとのこと。

どうしてでしょうか?

その原因は血糖値にあります。

糖尿病でない健康な人であれば、風邪の菌やウイルスが侵入して
きても、免疫細胞といわれる白血球がすぐに駆けつけ、侵入を防
いでくれます。

白血球は侵入してきたウイルスや細菌などの異物と戦い、それら
を食べてくれるうえ、侵入してきた異物に対して抗体を作ります。
そのようにして、それ以上の侵入を防ぎ、感染拡大を抑えてくれ
ています。

しかし困ったことに、血糖値が高いと白血球の働きが鈍くなって
しまうのです。

なぜ白血球の働きが弱まるのでしょう?

理由は単純です。高血糖というのは読んで字のごとく糖が血液中
に多く流れている状態をさします。砂糖をたくさん入れたコーヒ
ーがベタベタするように、高血糖の血液も比重が重くドロリとし
ています。

そして、白血球は血液中に存在しますから、高血糖の状態で、も
し風邪の細菌が侵入してきたらどうでしょう?白血球は、外敵
の侵入に備え救急車で直ちに現場へ急行……したいのですが、比
重の重いドロドロとした血液の中では早く進むことができません。

救急車がサイレンを鳴らして走ろうとしているのに、道路は大渋
滞というような状況です。これでは、風邪の細菌をやっつけるこ
となどままなりません。

大渋滞は、白血球に対してだけではありません。細菌感染を予防
するための抗生剤などの薬を飲んだ時も同様です。これらの薬も
感染しているところになかなかたどり着けなくなります。つまり
薬の効きが悪くなってしまうのです。

さらに血糖値が高い状態が続いていると、末梢の細い血管はダメー
ジを受けてどんどん流れが悪くなっています。そうなると酸素や
栄養がきちんと行き渡らなくなり、細胞の働きは低下してしまい
ます。

ほかにもあります。風邪の細菌に感染して体調を崩した状態の時、
体内にはサイトカインと呼ばれる物質が生まれています。サイト
カインは、免疫系の一種で細胞間の情報伝達に関係している物質
なのですが、風邪などで炎症がおきると増える性質があります。

困ったことに、サイトカインはインスリンの働きを妨げる作用を
もっています。そのため風邪に感染すると、インスリンの効きが
悪くなってしまい、それに引きづられるように血糖値も上がって
しまうのです。

血糖値が上がってしまうとますます血流は滞り、白血球の働きも
悪くなっていきます。なんという悪循環。

糖尿病になる前ならすぐに治った程度の風邪がなかなか治らず、
場合によっては重症化し、気管支炎や肺炎で入院しなくてはいけ
なくなることもあるのは、こういう理由からです。

風邪だからといって高をくくっていると、思わぬ痛い目に会うこ
とがお分かりいただけたでしょうか。

糖尿病だと風邪をひきやすく治りにくい?-その2

さて、糖尿病患者にとって一番か二番目に怖いものは、糖尿病性
網膜症や腎症、動脈硬化といった合併症です。

合併症が怖いので、高血糖にならないよう日頃からせっせと運動
療法や食事療法を行っているわけです。なぜかといえば、これら
の合併症は、数年か十数年かけてじわじわと進行していくので、
日常で予防をしないといけないわけです。

これを「慢性合併症」といいます。しかし!慢性合併症以上にコ
ワイ症状が起こりえるのです。それが、病状が急激に進行する
「急性合併症」というもの。

ふだんはめったに起こりませんが、風邪をはじめとする感染症に
かかると、キケンな急性合併症が起こりやすいのです。キケンと
言われるくらいですから、対処が遅れると生命の危険も生じます。

急性合併症の内、特に注意が必要なのが、1型糖尿病の患者さんや
インスリン治療をしている2型糖尿病の患者さんです。

風邪をひくと食欲が低下し、これまでと同じように食事を摂るこ
とができなくなります。また、頻回な下痢を催してしまうことも
あるでしょう。このように、食事(炭水化物)の摂取量が極端に
少なくなると、体内では脂肪がエネルギー源として使われるよう
になります。

すると、肝臓でケトン体という物質が作られ血液中に溜まってき
ます。ケトン体は酸性なのでその量が増えると血液が酸性になり
ますが、その状態を「ケトアシドーシス」といい、吐き気や腹痛
が現れ、進行すると意識障害や昏睡に至ることから、緊急治療が
必要です。

ケトアシドーシスになる原因として多いのが、ふだんインスリン
治療をしている患者さんが、風邪で食欲がない時に「何も食べな
いので血糖値は上がらないだろう」と判断してインスリン注射を
自己判断で中断してしまうこと。インスリン注射は絶対中止して
はいけません。食べられなくても、血糖自己測定を参考に単位数
を加減して注射しなくてはいけないのです。

「俺は1型糖尿病じゃないし、インスリンも打ってないから急性合
併症は関係ない」というあなた。それは間違いです。2型糖尿病患
者さんでも高齢の方は要注意です。それが今から説明する、高血
糖高浸透圧症候群です。

既にお話したように、風邪に感染すると、血糖値が高くなりやす
くなります。高血糖状態では尿にも糖分が漏れ出します。血糖を
薄めようとして体内の水分が血管内に移動し、尿の量が多くなり
ます。すると、体は脱水状態になります。そうでなくても風邪に
よる下痢や発熱がありますから、脱水は強まる一方です。脱水状
態だと、血液が濃縮されるので血糖値がより高くなります。

これは実に危険な状態なのです。結果、高度の脱水と著しい高血
糖を来した「高血糖高浸透圧症候群」という状態が引き起こされ
ていきます。全身の血液の流れが悪くなって、さまざまな臓器の
働きが低下した状態です。緊急治療が行われないと、最悪それら
の臓器の機能が破壊されてしまうことさえあるのです。高齢者は
体内の水分量が少ないため少しの変化で脱水状態になりやすいの
ですが、高齢者でなくても水分が十分にとれなければ、同じよう
な状態になる可能性があります。

今回のまとめ

たかが風邪、されど風邪。

糖尿病の方にとって風邪はまさに鬼門。身近ゆえに気をつけなく
てはいけないという点、お分かりいただけたでしょうか。

・高血糖があると白血球が働きにくいため、風邪になりやすい

・高血糖のために、抗生物質などが素早く効かないことがある

・1型糖尿病、インスリン注射中の人はケトアシドーシスになる
ことがある

・風邪による脱水に伴う高血糖高浸透圧症候群は一度発症する
と生命に関わる

→ 関連項目 糖尿病と免疫のお話-その1

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