病気になると、なにをするにも消極的になりがちです。
でも糖尿病だからといって、スポーツを諦める必要はありません。
むしろ楽しんだほうがいいんです!
ただし相応の注意は必要。
覚えておくべきポイントは・・・
・スポーツを始める際には、必ず主治医に相談を
・合併症によっては制限や禁止もありうる
・ジョギングのスピードは隣の人とおしゃべりできる程度
・走るなら夕食後がオススメ
・肥満の人は、ジョギング前にウォーキングで体慣らしを
・登山するなら、血糖値測定器を購入しよう
・登山には日常的な体力づくりが必要
というわけで、前回は、ジョギングと山登りを楽しむためのアドバイスをしましたが、今回も、引き続き、糖尿病の人がスポーツを楽しむための実践的な情報をご紹介します。
※「糖尿病と闘う」とは、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせて、医師の指導のもとで、糖尿病が悪化しないように真剣に取り組むことを意味します。特定の食品が糖尿病に効くことを示唆するものではありません。※ご紹介する声は、特定の食品が疾病に効くことを示唆するものではありません。あくまでも、読者の皆さまが医師の指導のもとで食事療法・運動療法・薬物療法に取り組まれた結果です。
こんなスポーツでも大丈夫?その2
●ゴルフをするなら?
インスリン注射や薬を飲んでいる患者さんがゴルフをする際には注意が必要です。
普段の藥は日常生活での運動量に合わせてあるため、エネルギーを余分に消費する場合には、低血糖を起こしてしまう可能性があるからです。
スコアに集中していると、不調にも気づきにくいですよね。
「だから自分はゴルフをする日はインスリンを打たない」とか、半量にする人もいます。
これも自分なりのコントロール法ですが、やはり「勘」に頼るコントロールよりは、血糖値測定器を準備しておいて、スタート前と途中と終了時など、要所要所で測ってみることをおススメします。
何回か測定器をパートナーに回ってみれば、自分がいつ頃低血糖になりやすいか、パターンが判ってくるはず。
で、「血糖値がこんな感じで変化しますが、インスリンはどのくらい打てばいいですか?」と主治医に相談してみるのです。
そうすれば、自分にぴったりな「ゴルフ日のインスリン量」を教えてもらえますよ。
ある医師は、「糖尿病患者にはゴルフ名人が多い」といいます。
「糖尿病は自己管理の病気で、患者さん自身が療養のコツを会得し、実行するしか良好なコントロールを得る事はできません。どこかゴルフと共通する部分があるのではないでしょうか(笑)
糖尿病でも、ちゃんとコントロールすれば健康な人と変わりません。むしろ常に自分の現状が把握できる点、健康な人より有利かも。糖尿病の患者さんには糖尿病のシングルを目指していただきたいですね(笑)」
とのこと。
励みになりますよね。
●水泳をするなら?
有酸素運動で関節への負担が少ない水泳は、糖尿病患者に推奨のスポーツとしてはトップクラス。
始める前に、主治医に相談するのはお決まりとして、1つ気を付けて欲しいのは水分補給です。
というのも水泳は、水の中での運動となるため、水分を補給することを怠りがちだからです。
実際水泳時には相当量の発汗が起こっているものと考えられ、それは、体重が結構減少することでもあきらかです。
しかも、糖尿病の人は、脱水症状から糖尿病性昏睡に陥るリスクがあります。
単なる水分不足ではなく、細胞内や体液中の電解質バランスが崩れたりして、結果的により重篤な状態に陥ってしまうわけです。
そうならないためには小まめな水分補給、それも電解質バランスのいい水分を補給することが大切です。
「ということは水分補給は、ポカリスエット等のスポーツドリンクが理想?」
と考えがちですが、カロリーゼロタイプでないスポーツ飲料には、高果糖液糖(一部地域は果糖)、トレハロース、はちみつ、あるいはブドウ糖やショ糖など、血糖を上昇させる成分が入っているので、そのまま飲むと食後高血糖を生じさせる危険もあります。
また汗びっしょりなって、水だけ補給すると体液が薄まって血液中のナトリウムイオン濃度が低下して水中毒となるので要注意。
おススメは「水+少量の塩」
カロリーゼロタイプのスポーツドリンクでもいいですね。
スポーツの効能
最後に、糖尿病でもスポーツを存分に楽しんでいる方の実例をご紹介しましょう。
Gさんは会社経営者。ゴルフの腕前はプロ並み。クラブチャンピオンを何度も獲っています。
傍目には、持病があるなんて想像もつきません。でも、Gさんは糖尿病。
いつもインスリンを打ちながらラウンドしています。
「特に大会のときは、準決勝から1日2ラウンドの長丁場になりますよね。そんなときは、ゴルフよりもインスリンコントロールのほうが難しいです」
過去には、冷や汗が出て意識が遠のき、スイングが出来なくなって、そのホールをギブアップした事も何度かあったとのこと。
「結局、試合のときには、ゴルフよりもインスリンとの勝負です。最近は、血糖測定器を使うようになったので、格段に、血糖コントロールがしやすくなりましたね。自分の変動パターンがつかめたので、インスリンを打つ量を、適格に調整できるようになりました。お陰で、安心してラウンドが楽しめるようになりました。成績も調子いいですよ」
Gさんの快進撃はこれからも続きそうです。
Bさんは、友人に勧められてハイキングを楽しんでおられます。
「以前は体を動かすのが嫌いで、いわゆるインドア派でしたね。でも、何か運動をしなければいけないというのは、医師からも言われていましたし、自分でもどうせやるなら自分が楽しめるものがいいなと思っていました」
友人の誘いということもあって、最初は断われずに始めたハイキング。朝早く起きて、歩いて山や丘を散策する。初めはあまり魅力的に思えなかったそうですが、でも始めてみると・・・
「思っていた以上に楽しかったです。糖尿があるので、最初は近場で2時間程度のコースでしたが、段々ともっと良い景色を見てみたい、テレビや雑誌で見たあそこに行ってみたいと、欲が出てきました」
と語るBさん。
血糖の管理はどうしているのか聞いてみると
「長時間のコースや、遠距離まで出かけることを目標にしてからは、血糖測定器を利用するようになりました。自分のペースや限界などもこれで分かるようになり、安心して無理のない場所やコースを選べるようになりました」
この趣味を始めてみてどんな変化がありましたか?という質問には
「体を動かさなきゃいけない、ではなく、動かしたいと自分で思えるようになったのは、本当に自分でもビックリです。しっかり自分の体調さえ管理すれば、糖尿でもほとんど制限なく楽しめます。週末が雨で出かけられない時は、ストレスで血糖値が少し上がるくらいです(笑)」
今後は、少し高い山に登って、自分の限界を超えてみたいとも話してくださいました。
今回のまとめ
糖尿病でも、それなりの注意を守ればスポーツを十分に楽しむことが可能である、ということがよく分かったのではないでしょうか。
では、今回のおさらいのポイントは・・・
・インスリンを打っている人は低血糖に注意
・血糖値測定器で自分の血糖変化の特徴を知り、主治医に相談して、最適なコントロール法を教わろう
・水泳をする際には、水分補給を忘れずに
・スポーツドリンクはカロリーゼロタイプがおススメ
注意事項を守って、楽しいスポーツライフを送ってください。
→ 関連項目 糖尿病とスポーツその1
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