前回のページでは、タバコと糖尿病は「断つべき関係性」だとご紹介しました。
糖尿病の方は、血液にブドウ糖が多いことから血液がドロドロな状態です。それにタバコの害が加わってしまうと、さらにドロドロな状態に促してしまうので合併症が起こりやすくなるという内容でした。
そのため、糖尿病で起こる合併症を予防するには、タバコを断たないといけません。ここでは、タバコを断つべき理由と禁煙する方法をご紹介します。
タバコが体に悪い理由
「百害あって一利なし」といわれているタバコは、糖尿病患者にとって決してよいものではありません。喫煙し続けると糖尿病の進行を防ぐことができず、合併症などのリスクが高まります。その理由は、人間の体にとって必要な栄養素の「ビタミンC」が関係しています。
タバコは、ビタミンCを破壊する力を持っています。タバコ1本でビタミンCの破壊量は、およそ50mg。1日に必要なビタミンCの摂取量は、成人男性で100mgなので、約半分が破壊されていることになります。タバコを1日に2本以上吸ってしまえば、1日に必要な量が破壊されて失ってしまいます。
また、糖尿病を発症している方にとってビタミンCは、欠かせない成分です。ビタミンCは、糖の代謝を強化してよくする作用が期待できます。糖質は、本来体のエネルギーを作るために必要なものです。しかし、糖尿病になると血液の中にある糖がインスリンを利用してエネルギーにうまく変換されません。そのため、糖が血液の中に増えてしまい、ドロドロな血液になってしまって体に悪影響を与えてしまいます。
しかし、ビタミンCは糖の代謝をよくする作用があるので、血液をサラサラにして血糖値を下げてくれます。そのため、エネルギーへ変えられるように働きかけられるようになります。
他にも、ビタミンCは骨や筋肉、血管などのあらゆる体の組織を生成する働きがあります。外傷ができてしまったとき、傷ついた皮膚の表面や粘膜、血管、組織を修復するのにコラーゲンが必要です。そして、そのコラーゲンを作るために必要なのがビタミンCです。
また、コラーゲンとビタミンCは外傷だけではなく体の中でも同じ働きを行います。糖尿病が発症すると、毛細血管などが弱くなってしまい、傷がつきやすい状態です。そのときに必要な働きを行ってくれるので、コラーゲンとビタミンCは必要なのです。
糖尿病を発症している方にとってビタミンCは、重要な働きを行う成分です。体内に十分なビタミンCを維持できるように禁煙し、意識して摂取することが必要になります。
効果的な禁煙方法
タバコと糖尿病がどれだけ悪い関係性なのか、これまでご紹介してきました。しかし、これだけ危険性があってもタバコは中毒性が高いのでやめたくてもやめられない方が少なくありません。そんな方に向けて、効果的な禁煙方法を以下にまとめてみました。
・タバコ関連のグッズを持ち歩かない
禁煙成功した方は、タバコ関連のグッズを持ち歩かなくなっただけで「身軽になった」と驚く方がたくさんいらっしゃいます。タバコを吸うには、ライター、タスポが必要です。それに現代では、喫煙所の数が減ってきているので、喫煙所を見つけても灰皿がタバコの吸殻で大変な状態になっています。そのため、携帯灰皿を持ち歩く方が増えました。どれも小さいものなので、持っていても負担ではないと思うかもしれません。しかし、実際に持ち歩かないようになったらどれだけ荷物が多かったのか実感できます。そのため、効果的な禁煙方法としてタバコ関連のグッズを持ち歩かないことがすすめられています。
タバコ関連のグッズがなければ、暇になったからタバコを吸う、口が寂しいからタバコを吸うなどの行動を起こさないようになります。最初のうちは、持っていないことでストレスを感じてしまうかもしれません。始めるときは、近くのコンビニに行くときにタバコを持っていかないことから始めていきましょう。そして、少しずつ持ち歩かない時間を長くしていくことでタバコを持ち歩かない環境に慣れていきます。いきなり、タバコを捨ててしまうわけではないので、「禁煙する」と強く思うのではなく「少しタバコから離れよう」と気軽な気持ちで始められます。
・病院の力を借りて行う「禁煙外来」
昔は、禁煙を強い意思や努力で行うものと考えられていました。しかし、中毒性があるので禁煙していてもなかなか成功しない方がたくさんいました。そんな方たちのために考えられたのが「禁煙外来」です。これは、医療の力を借りて精神的な負担を減らし、禁煙できるというものです。
一般的に禁煙外来は、12週間かけて行います。この間に5回診察を受けて、医師からのアドバイスや禁煙するための補助薬の処方があります。
処方される補助薬で多いのは、「チャンピックス」という薬です。これは、ニコチンから離脱症状を軽くすることやタバコを吸ってしまったときに「美味しくない」と感じさせることができる薬です。
医療機関が出している条件に満たしている場合は、健康保険が適用されることがあります。条件は、以下の通りです。
1.直ちに禁煙しようと考えている
2.ニコチン依存症のスクリーニングテストが5点以上
3.ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上
4.禁煙治療を受けることを文章によって同意している
上記の条件を満たしているときの料金は、自己負担で支払う金額が3割で約12,000円~19,000円。保険適用外の場合は、自由診療になるので約44,000円~66,000円です。
料金だけを記載すると、割高に感じかもしれません。しかし、タバコを1日1箱喫煙する方だと8週間~12週間分のタバコ代と保険適用となった禁煙外来の費用を比べたら、タバコ代よりも禁煙外来に支払う料金のほうが安くなります。
健康保険が適用されない場合、高くなるのでやめようと思うかもしれません。しかし、ほとんどの方は条件に満たすことが多いといわれています。「禁煙外来に興味があるけど費用が…」と思って悩んでいるのなら、一度診察だけでも行ってみてはいかがでしょうか。
禁煙で体を健康に
タバコを吸っている方は、禁煙することは難しいことだと考えているかもしれません。中には、「今さら禁煙しても遅い」と思っているかもしれません。また、一般人だけではなく有名人も禁煙できないと悩まされている方が大勢いらっしゃいます。その中でも、今は禁煙に成功している芸能界のご意見番として知られている和田アキ子さんは、年齢や健康状態からして禁煙が必要なのにやめられないと悩んでいたそうです。そんなときにプロ野球選手として活躍しているイチロー選手からの一通のメールで禁煙を決意しました。そのメールの内容は「長年付き合ってきた友と別れるときは大変なエネルギーを消耗します。しかし、アッコさんという友を奪われかねない方たちの思いを知ってください。」です。これは、有名な話で和田アキ子さんは、「自分の健康を気遣ってくれている」と感動して禁煙に成功しました。
また、国立がん研究センターから発表された内容に長い年月喫煙していた方が禁煙した場合、糖尿病を発症する確率は吸わない方に比べて高いとされています。しかし、5年禁煙したら吸わない方と同じ発症率になります。このことから、禁煙するのに遅いことはなく早めに始めて体の状態を整えることが大事であることが分かります。
最後に、体にどれだけタバコが悪いのか、そして禁煙する方法を下記にまとめてみました。
・タバコを喫煙するたびに血糖値を下げ、血管などを修復する作用があるビタミンCが失われる。
・手軽に禁煙を始めるなら、タバコを喫煙するのに必要なものを持ち歩かない。
・病院で受けられる禁煙外来は、保険適用の場合だと12,000円~、保険適用外だと44,000円~。
・5年禁煙できたら、糖尿病の発症する確率がタバコを吸わない方と同じぐらいまで下がる。
以上です。
禁煙のきっかけは人それぞれです。糖尿病などの病気が発症してから禁煙するのも遅くはありません。しかし、家族や友人などの周りの方も、体の健康を気遣って心配します。自分や心配している方たちのために、禁煙を行ってみてはどうでしょうか。
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