血糖値を下げる食事のしかたとは?

血糖値を下げる食事のしかたとは?

糖尿病を患い食事制限に気を付ける方の中には、カロリー摂取を控えようと「昼食はそばやうどんだけで済ませている」という方も多くいます。しかし、こうした食事は、糖尿病を悪化させてしまう場合があるのです。
日本人の糖尿病患者の多くは、間違った食事療法により糖尿病を悪化させているケースが多々見られます。その間違った食事療法とは、いったいどのようなメニューを指すのでしょう。
以下のメニュー対決から、血糖値の上がりにくいメニューをそれぞれ選んでみましょう。

1.焼き魚定食 or ビーフステーキ+サラダ+野菜スープ
2.トースト1枚+コーヒー or チーズオムレツ+コーヒー
3.ざるそば or カツオのたたき+鶏もも焼+味噌汁

4.おにぎり2個 or 湯豆腐+ローストビーフ+野菜の煮物

食事制限に気を付けている糖尿病患者の多くは、それぞれ「焼き魚定食」や「トースト1枚+コーヒー」、「ざるそば」や「おにぎり2個」を選ぶことでしょう。
しかし、これらのメニューはすべて血糖値を上げてしまう危険性を秘めているのです。
糖値の上昇を抑えるには、その反対のメニュー、つまり「ビーフステーキ+サラダ+野菜スープ」や「チーズオムレツ+コーヒー」、「カツオのたたき+鶏もも焼+味噌汁」や「湯豆腐+ローストビーフ+野菜の煮物」を選ぶべきといえます。
これを見て、「やはり量よりも栄養バランスの取れた食事が大切なのだろう」と感じてしまうかもしれませんが、決してそうではありません。糖尿病の食事制限で大切なのは、食事のバランスではなく、炭水化物の有無。糖尿病患者にはカロリーや脂質の高い食生活が敬遠されがちではありますが、血糖値を上げてしまう主な原因は炭水化物です。
そのため、糖尿病患者は、ご飯やパン、麺類などの炭水化物の摂取を避けるべきといえるのです。
アメリカ糖尿病学会「ADA」の公式テキストブックにも、「炭水化物を摂取すると15分以内に血糖値は上がり、2時間以内に摂取した炭水化物の100%がブドウ糖に変化し吸収される。これに対し、脂質やタンパク質を摂取しても、血糖値は全く上がらない」と記載されています。
これはつまり、ビーフステーキを1枚食べるよりも、トースト1枚やざるそばを食べる方が血糖値は上昇してしまうということ。確かに、カロリーや脂質、栄養バランスにも気を付ける必要はあります。
しかし、血糖値の上昇を抑えることに重点を置くのであれば、炭水化物の摂取はなるべく控えるべきといえるのです。外食する際は、炭水化物を意識してメニューを選ぶようにしましょう。

血糖値を上昇させるのは本当に炭水化物?

「本当に炭水化物が血糖値を上昇させるの?」という方のために、血糖値が上昇するメカニズムをご紹介します。

血糖値とは、血液に含まれるブドウ糖の濃度のこと。そんなブドウ糖は、炭水化物が原料です。ご飯やパン、そばやラーメンなど炭水化物を摂取すると、それらすべては胃の中で消化され、腸内で消化酵素によって分解されブドウ糖へと変わります。
健康な方だと、すい臓がインスリンを放出し、常にブドウ糖を細胞内へと送り込むため、吸収されたブドウ糖(炭水化物)の量に比例して血糖値が上昇することはありません。主に脳細胞や筋肉細胞、肝細胞にブドウ糖は取り込まれ、筋肉細胞と肝細胞にはインスリンによってブドウ糖がグリコーゲンへと変換され取り込まれます。また、脳細胞や筋肉細胞、肝細胞に取り込まれるブドウ糖の量は限られており、取り込まれなかった余分なブドウ糖はインスリンによって中性脂肪へと変えられ取り込まれます。健康な方の血糖値は、このサイクルにより常に70mg/d~140mg/dに保たれるのです。

これに対し、インスリンが正常に分泌されていなかったり機能していなかったりする糖尿病の方は、摂取した炭水化物がブドウ糖として細胞内へと送り込まれず、ブドウ糖のまま血液中に留まり続けてしまうことから血糖値の上昇につながってしまいます。
いわゆる、糖尿病の原因である血液中の糖分やお腹周りにたまる中性脂肪は、もともとは炭水化物であるということ。ステーキなどを食べて脂を摂取したからといって、それがそのまま脂肪として蓄えられるわけではなく、血糖値が上昇するわけでもありません。肉中心の食生活であるアメリカ人は、日本人に比べ肥満体質が多く、BMI値30を超える方も日本に比べ10倍も多いといわれています。しかし、糖尿病の発症率は、日本人のほうが高いとされているのです。その理由は、日本人の食生活にあります。ご飯を主食とし、そばやうどん、ラーメンなどの麺類も多く摂取する日本人は、炭水化物を過剰に摂取する傾向にあることから糖尿病になりやすいとされています。
上述の通り、炭水化物の摂りすぎは、血糖値の上昇につながります。糖尿病と炭水化物は密接に関わっているため、糖尿病を患う方は、ご飯やパン、麺類などの食べ過ぎは避けるようにしましょう。

今回のまとめ

上記の内容をまとめると、以下のようになります。

・炭水化物はブドウ糖の原料である
・炭水化物を摂取すると血糖値の上昇につながるため注意が必要
・外食では、「量」より「質」にこだわる必要がある(ご飯や麺類などの炭水化物メニューを避ける)

※糖尿病を改善に導く食事療法には、それを提唱する医師や専門家によってさまざまな理論や考え方があります。また、それぞれの医師や専門家による意見によって、科学的根拠がある場合やない場合もあります。このコラムでは、医師や専門家の意見によって矛盾する情報を取り上げている場合がありますが、それは、こうしたさまざまな情報を提供することでひとつの情報に固執してしまうことなく、多くの情報から自分にぴったりの方法を見つけ出していただけたら……という願いが込められています。

以前も炭水化物と血糖値の関係性について取り上げたことがありましたが、今回は新たな統計なども合わせ、改めて糖尿病の食事療法について取り上げてみました。

しかし、中には食事療法や運動療法で治療していても、「血糖値がなかなか下がらない」と悩む方も少なくありません。
ではなぜ、食事療法や運動療法に取り組んでいても改善しないのでしょう。

それには、深い理由があるのです。

その理由とは、糖尿病の本当の原因は、実は他にあるからです。そう、糖尿病を引き起こす原因は、食べ過ぎや運動不足だけではないという点にあるのです。

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