糖尿病で高血糖状態が続くと、血液中の糖とコレステロールと結びつき動脈硬化を促進させてしまう可能性が高くなります。また、糖尿病を発症している方は動脈硬化が起こることで、脳梗塞などを引き起こしやすくなるといわれています。糖尿病の方で脳梗塞などが起こるリスクを下げたいのであれば、動脈硬化を起こらないようにして、健康的に体を保てるように意識して生活することが大切です。
そこで今回は、脳梗塞などを引き起こす原因と発症のリスクを下げる方法についてご紹介します。
突然起こった脳梗塞の原因とは?
脳梗塞は、糖尿病の合併症として危惧されている病気です。しかし、「糖尿病と脳梗塞が具体的にどのように関係しているのか分からない」という方もいます。
以下では、糖尿病で脳梗塞が実際に起こったYさん(54歳・男性)の体験談をご紹介します。
糖尿病歴12年のYさん。持ち前の明るさでインスリン注射を打ちながら、楽しく糖尿病を克服するために日々送っていたそうです。しかし、ある日突然体に異常が起こりました。
「食事するために飲食店のテーブルについたときに異変が起こりました。乾杯のために杯を挙げた瞬間、体が傾いているように感じたんです。“あれ?おかしいな”と思ったときには、既に倒れており目の前にテーブルの足がありました。体は床に倒れ、食器の割れる音や周りにいる人たちの叫び声が聞こえたと思ったら、そのまま意識を失いました。」
と、その日の状況を説明するYさん。
以前Yさんは、インスリン注射を打ったタイミングが早すぎたことで低血糖の発作を起こしたことがありました。今回も低血糖による発作で倒れたと思ったそうです。しかし、今回は低血糖の発作が原因で倒れたわけではなかったのです。
「目が覚めたら病院のベッドの上でした。布団がはだけていて、肩の辺りが寒かったので布団を引っ張ろうとしたら、右手が思うように動かない。痺れたような感じでまるで右手が重い石のようでした。
医者から話を聞くと、脳梗塞の発作が起こり、右半身不随の後遺症が残ったことを知りました。聞いた瞬間“とんでもないことが起こってしまった”と思いました。何しろ、右手だけでなく右半身が全く動かないんですから。」
と、脳梗塞の発作が起こった当時の状況を語ってくれました。
「糖尿病のせいで脳梗塞が起こりやすい状態だったと医者に言われたけど、まさか自分がこんなことになるとは。体の半身が動かせないことは、言いようがないほど不便でときどきやりきれない思いに襲われることがあります。夜中に薄暗い病室で動かない右腕に向かって“頼む!動け、動いてくれ”と涙ながらに叫んだことも。脳梗塞の発作は一度起こしたら命取り。二度と元の状態に体を戻すことができないんです。」
Yさんは、落胆した様子で語ってくれました。
当時は、糖尿病の治療でインスリン注射を打ち、血糖値のコントロールに気を使いながら過ごしていただけに、ショックがかなり大きかったそうです。
Yさんは「血糖値ばかり気にしていたのがいけなかった」と当時を振り返って言いました。
しかし、どうして突然Yさんに脳梗塞の発作が起こったのでしょう。実は、喫煙によって引き起こされた脳梗塞の発作だったのです。
喫煙者だったYさんは、血糖値のコントロールばかりに気を取られてしまい、喫煙によるリスクを考えていなかったのです。
喫煙は、脳梗塞を引き起こすリスクのうちのひとつです。タバコには、一酸化炭素が含まれていて体内の血管を収縮する作用があります。血管が収縮されてしまうと血液の流れが悪くなります。
糖尿病で高血糖状態の方は、血管の状態が悪いのでタバコを吸うと血管の収縮が起こり、動脈硬化の進行を促します。その結果、血管が詰まって脳梗塞を引き起こしてしまうのです。
「長年タバコを吸っているから今さらやめられない」という喫煙者の方もいます。確かに、タバコは中毒性が高いので禁煙は難しいと感じるかもしれません。また、「もう何年も吸っているから今さら禁煙しても遅い」と考えている方もいます。しかし、実際は禁煙に「遅い」はありません。
何十年とタバコを吸っていたとしても、2年禁煙できれば体の状態が少しずつよくなっていきます。5年禁煙できれば、非喫煙者の方と同じ体の状態にまで戻るといわれています。
思い立った日から禁煙を始めても遅くないので、禁煙し脳梗塞のリスクを下げられるようにしましょう。
脱水状態も危険!
水分は、人間にとって必要不可欠です。しかし、目先の出来事に夢中になって水分補給をつい忘れてしまうこともあります。そんなときに起きてしまうのが「脱水」です。通常なら脱水状態になると、砂糖と塩化ナトリウムを水に溶かした経口補水液などを飲めば解消できます。
しかし、高血糖状態の体は、細胞の浸透圧のバランスが崩壊しているので排尿する回数が増え、体が常に脱水気味です。
脱水気味の状態で発汗すると体の水分はすぐに失われます。特に炎天下での運動やサウナに入った後は、水分を失いやすいので注意が必要です。
水分が無くなった体内の血液は、濃縮されてドロドロの状態に。ドロドロの血液は血管に詰まりやすいので、脳梗塞のリスクが高まります。
また、年齢も大きく影響します。50代が過ぎると男性なら前立腺肥大、女性なら尿漏れなどの尿に関するトラブルが起こりやすくなります。尿トラブルを防ぐために自己判断で水分をとらないようにし、トイレへ行く回数を減らす方がいます。しかし、自己判断で水分をとらない行動は脱水気味の状態が続き、脳梗塞のリスクが上がるので危険です。
また、アルコールを飲むときも注意する必要があります。アルコールは体内の水分を奪う働きがあるので、飲んだアルコール量よりも倍の水を飲むように心掛けることが大切です。
脱水気味を解消する最適な水分補給の量は、1時間~2時間ごとにコップ一杯分、またはコップ半分程度です。面倒だからと一度に大量の水分をとっても、体内に残らずそのまま尿として出てしまうので効果は期待できません。こまめに少しずつ飲むことを意識して、脱水を解消しましょう。
血圧にも要注意
「タバコも吸わないし、お酒も飲まないから大丈夫」という方も、脳梗塞を起こすリスクがあります。それは、「高血圧」です。高血圧は、血管への血液による圧力が強く、血管内の壁へ圧力がかかりすぎて傷つきやすい状態です。
高血圧の方は、血圧の数値を10下げるだけで脳梗塞のリスクを3割も減少できます。糖尿病で高血圧の方なら、同様に血圧を10下げると4割も脳梗塞のリスクを減少できます。血圧を下げることを意識して生活を送れば、脳梗塞を予防できることが分かります。
血圧を下げる方法は、食生活を見直して改善することが効果的です。食事は、塩分を控えてカリウムが豊富に含まれているアボガドや納豆、バナナなどを食べるようにします。同時に、適度な運動を行うことで血糖値のコントロールしやすくなり、糖尿病の改善にもつながります。
以上、脳梗塞などを引き起こす原因と発症のリスクを下げる方法についてご紹介しました。
糖尿病の合併症でもある脳梗塞は、「喫煙者なら禁煙する」「こまめに水分補給する」「血圧の管理」の3点を行うだけで発症のリスクを大幅に下げることができます。
最初のうちは、この3点を意識して生活を送ることが難しいと感じるかもしれません。とはいえ、どれも慣れてしまえば日常生活に取り入れやすい行動ばかりです。すぐにでも日常生活に取り入れて、動脈硬化を防ぎ糖尿病や脳梗塞のリスクを下げましょう。
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