生活習慣病のひとつである糖尿病。食の欧米化が進んだ影響もあり、日本でも多くの方が糖尿病を患っています。そんな糖尿病の原因はさまざまであるものの、原因を知るには糖尿病を発症する仕組みを知る必要があります。
そこで今回は、糖尿病を発症する体の仕組みについてご紹介します。
食事をした後の体の仕組み
私たちは、毎日のように食事をします。食事をした後、その食べ物は体の中でどうなるのでしょう。
以下の図では、食事をした後の体の仕組みを表しています。
ご飯やパン、フルーツなどを食べると、まず、胃の中で消化され、分解されます。胃の中で分解された後も分解を重ね、腸内に入ると分解されたものはブドウ糖へと変わります。そのブドウ糖は、腸内から全身の血液中へと流れ出ていきます。
ブドウ糖が全身の血液へと流れ出る際、すい臓では、インスリンが作られます。このインスリンもまた、血液中へと放出されます。インスリンが血液中へ放出されると、細胞膜に存在する「インスリン」と「インスリン受容体」が結合します。すると、次にブドウ糖が細胞の中へと入っていきます。インスリンとインスリン受容体が結合し、ブドウ糖が細胞の中へ入ってはじめて、細胞は栄養が摂取できるというわけです。このようにして細胞の中にブドウ糖が入ると、当然のことながら血液中のブドウ糖の量は減ります。血液中のブドウ糖の量が減るということは、血糖値が下がるということ。この仕組みにより、血糖値は正常に保たれるのです。
健康体の方は、こうした体内の仕組みにより、摂取した食べ物がスムーズに栄養へと変わります。しかし、糖尿病を患っている方の場合、細胞の中にブドウ糖が入りにくい傾向があります。その理由は、以下の通りです。
・インスリンが放出されにくい
インスリンが放出されにくいのは、すい臓に問題のある可能性が高いといえます。
通常、食べ物を摂取すると、血糖値が上がります。その上がった血糖値を下げるためにすい臓はインスリンを作り、血液中へと放出する体の仕組みとなっています。しかし、すい臓機能が低下していると、インスリンの分泌量も減るため血糖値を下げることができません。すい臓が疲弊していたり、何らかの疾患があったりすると、すい臓でのインスリンの生産量は低下し、それと共に細胞内へと侵入できるブドウ糖の量も限られてしまうのです。
・インスリン、またはインスリン受容体が活発でない
インスリンの量は通常通り分泌されているにも関わらず、インスリン自体が活発でなかったり、インスリンと結合するはずの細胞側にあるインスリン受容体が活発でなかったりする場合も、細胞内へのブドウ糖の侵入を妨げてしまいます。
インスリンとインスリン受容体が結合した際、細胞内の「ブドウ糖輸送担体」と呼ばれる物質が細胞膜上へと移動し、細胞内へのブドウ糖の侵入を促します。しかし、インスリンとインスリン受容体が上手く結合しなければ、ブドウ糖輸送担体は細胞内から動くことはなく、ブドウ糖が細胞内へ取り込まれることもありません。すると、血液中にはブドウ糖があり余るようになり、血糖値も高まり、結果的に糖尿病を引き起こしてしまうのです。
糖尿病にならないためには、インスリンとインスリン受容体の両方が活発でなくてはなりません。どちらか一方が活発であっても、どちらか一方が活発でなければ、ブドウ糖は細胞内へスムーズに入っていくことができないのです。
2型糖尿病を患う方の中にはインスリンの放出量がもともと少ない方もいますが、そのほとんどは放出量に問題はありません。2型糖尿病患者の多くは、インスリン自体に元気がなかったり、またはインスリン受容体に元気がなかったり、もしくはその両方に問題があると考えられるのです。
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あなたはご存知でしょうか?
糖尿病の本当の原因を
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