糖尿病の治療として代表的なのは、インスリン注射です。中には、これからインスリン注射を始める予定の方もいるかもしれません。初めてインスリン注射を打つなら心配や不安を感じるかもしれません。
そんな不安を持っている方からの質問を一部ご紹介します。
- 愛媛県 牛島さん
- 少し前から糖尿病の治療としてインスリン注射を勧められています。自分で注射することに不安があり、本当にインスリン注射を打つ必要があるのかと疑問に思っています。これまで医師の指示通り食事療法を真剣に行っていなかったので自業自得かもしれません。けれども、インスリン注射まで行わないといけなくなったのかと思うとショックです。
医師からは、インスリン注射を上手く打てるように指導して訓練を行うといっているので打つことに関しては大丈夫そうですが、1番不安に感じているのは副作用です。
そこで聞きたいことは、インスリン注射をするときに気を付けるのか、どんな副作用が起こるのかについてなので教えてください。糖尿病を改善するために必要だといっても上記の質問者である牛島さんのように、インスリン注射に対して不安を持つ方は多くいます。そこで今回は、インスリン注射で気を付けたいことをご紹介します。
インスリン注射で気を付けたい「低血糖」
インスリン注射を打つ前に知っておいてほしいことは、「低血糖」が起こる可能性があることです。低血糖は、血糖値の数値が正常よりも下の数値まで下がってしまう症状を指します。糖尿病の方からすれば、血糖値が下がることはよいことだと思うかもしれません。しかし、下がりすぎてしまうと低血糖状態となり、体に負担がかかるので一定の数値を保つ必要があります。
低血糖の症状は、脱力感・冷や汗・動悸・手の震え・酷い空腹感・めまい・いらつき・頭痛・目がかすんでくるなどいろいろとあります。また、低血糖の症状が起こっているのに放置すると昏睡状態になり、命の危険に陥ることもあって危険です。
めまいや頭痛などの症状は、脳に必要な栄養成分が届いていないために起こります。そのため、適切な処置が遅れてしまうと命の危険を回避できたとしても、脳に損傷を受けてしまっていたら後遺症として深刻な障害が残る場合もあります。これまでの内容の通り、低血糖の症状を放置することは脳に対する危険性が高くなるので注意しなければなりません。
インスリン注射で低血糖になる原因とは?
インスリン注射を打ち始めた頃は、決められた量よりも多く打ったり、打つ時間を間違えたりすることがあります。また、量や時間を守っていても普段よりも運動量が多かったり、各食事の時間の間隔が空いたりすると低血糖になることがあります。
糖尿病ではない健康な方は、食事すると直後にすい臓がインスリンを分泌する働きを行い始めます。インスリンが分泌されるとブドウ糖が細胞の中に取り込まれていき、体に送り込めるように栄養へ変化します。そのため、通常の方は普段よりも運動量が多かったり、各食事の時間の間隔が空いたりしても低血糖になりにくいのです。
しかし、糖尿病の影響ですい臓の機能が低下していると食事しても、十分なインスリンの量が分泌されません。体に取り入れたブドウ糖は、インスリンがないと細胞の中に入っていけなくなります。インスリンが分泌されないとブドウ糖は、血液の中に停滞してしまい高血糖になり、糖尿病を悪化させることにつながります。
このように、すい臓の働きが低下するとインスリンの分泌量が不足するので、高血糖を防ぐために体の外から注射でインスリンを補う必要性が出てきます。
しかし、高血糖を防ぐにしてもインスリン注射を打って低血糖が起こる可能性があるのなら、糖尿病のためだといっても打つ必要がないと思うかもしれません。
確かに健康的な体だと食事量や時間に合わせて、すい臓が自然に働きかけてインスリンの分泌量や時間を調整します。しかし、健康的な体と違って血糖値が高い糖尿病の方の体は、インスリンの分泌を上手くできない体質になっています。そのため、少し食事の時間が遅れると血液中のブドウ糖が増えてしまい、インスリンの量を調節しにくくなります。この状態で何もせずに放置すると糖尿病の悪化だけでなく、合併症のリスクも高くなります。低血糖の恐れがあるからといってインスリン注射を行わないことは、さまざまなリスクを抱えてしまうことにつながるので糖尿病の治療に必要です。
低血糖になってしまったら?
もし低血糖になってしまった場合、どのように対処すればいいのか知っておく必要があります。低血糖は、血糖値が下がったことが原因で起こるので、ブドウ糖を摂取して血糖値を上げないといけません。角砂糖やスティックの砂糖を口に入れれば、一時的にブドウ糖を体内に摂取して血糖値を上昇させます。他にも、コカコーラやオレンジジュースなども代用できます。
ブドウ糖を摂取するなら甘い食べ物だとなんでもよいと思いがちですが、普通の飴やチョコレートだと体への吸収が遅いので効果は期待できません。また、糖尿病でα-グルコシダーゼ阻害薬を服用していると砂糖の代用は効果がありません。直接ブドウ糖を体内に入れる必要があるので、自分が服用している薬の種類も把握しておくことが大事です。
インスリン注射と上手く付き合うために
インスリン注射は、低血糖を起こさないように上手く付き合うことが大切です。また、インスリン注射を医師から勧められたときは、インスリン注射の効果や低血糖などの副作用のこと、メリットとデメリットなど必要なことはすべて聞いた上で治療を行うか決めるようにしましょう。
普段の生活にも大きく影響してくる治療になるので、インスリン注射について詳しく知った上で行うようにしましょう。
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