糖尿病と鬱病

糖尿病と鬱病

糖尿病の患者は鬱病になりやすく、また鬱病の患者も糖尿病をなりやすいといわれています。
どちらの病気も重症化すると日常生活の制限が厳しくなることがあるため、相互関係を知り、対策を講じる必要があります。
そこで今回は、糖尿病と鬱病の関係性についてご紹介していきます。

糖尿病とうつ(鬱)の関係

糖尿病と鬱病にどのような関係があるのか、気になっている方は少なくないはずです。実際、ふたつの病気の関係性についてメールで相談される方もいるほどです。

東京都 好井さん
私は糖尿病を患っています。鬱病と診断されているわけではありませんし、精神科やカウンセリングなどの医療機関を受診したこともないのですが、時々気分が悪くなることがあり、鬱病のような傾向に陥ることがあります。糖尿病と鬱病にはなにかしらの関係があるのでしょうか?
栃木県 Dさん
私はストレスに対する耐性が弱く、家族や友人などの周りの方からもそういったことをいわれます。鬱の傾向が強いと糖尿病になるのでしょうか。それとも、糖尿病だから鬱病を発症してしまうのでしょうか。教えてください。

糖尿病と鬱病の関係性について、「糖尿病患者が鬱病になる確率は糖尿病でない方よりも高くなる」という意見もあれば、「直接的な関係はない」という意見もあります。どちらの意見が正しいのかは明確化されていませんが、糖尿病と鬱病に関する情報を基に、考えられるケースを想定することが重要だといえます。

鬱病から糖尿病を発症するケースとは

一般的に、鬱病を発症すると対人関係が苦手だと感じるようになります。なるべく人と会わないように外出を避けるようになり、仕事を辞め、家に引きこもりがちになる方も少なくありません。
引きこもりになると過食に走りやすくなる他、運動不足に陥りやすいため、肥満や高血圧などの生活習慣病から糖尿病を発症してしまうと考えられます。

鬱病の原因のひとつであるストレスも、糖尿病の原因の一端を担っている可能性があります。というのも、長期にわたり過度なストレスを受けると体のさまざまなところに影響が出てしまいます。例えば、ストレスによって体内の血糖値が上昇してしまうことがあるのですが、血糖値が高くなると糖尿病になるリスクを高めてしまいます。
さらに、ストレスを感じると体内にアドレナリンが分泌され、インスリンの働きを弱めてしまう可能性があるとされています。インスリンは、血中にたまった糖を細胞に受け渡す役割を担うホルモンです。インスリンの働きが低下すると血中の糖の量が過剰に増えてしまい、糖尿病を発症する引き金になってしまいます。

これらのことから、鬱病が直接体内に影響を与えて糖尿病を発症させるわけではなく、鬱病特有の症状から派生して起きるさまざまなことが、結果として糖尿病のリスクを生む要因になっている可能性があると考えられます。

なお、糖尿病とは異なり鬱病は詳しい発症のメカニズムが解き明かされていないといわれています。精神科医などをはじめとする、鬱病の専門家でさえ分からないことがあるとても難しい病気なのです。
しかし近年、メンタルケアの第一人者で知られる堀之内高久さんによって「鬱病はストレスによる脳の機能低下が原因」という新たな考えが発表されています。もしも鬱病の治療が進み、完治させる方法が見つかれば、鬱病の症状が引き起こす糖尿病リスクを軽減させられるかもしれません。

糖尿病から鬱病を発症するケースとは

糖尿病になると倦怠感や疲労感が抜けず、ときに体に痛みを感じてしまうこともあります。これらの症状は、体だけでなく精神的にも疲れを感じさせてしまい、気分が落ち込んだり、ちょっとしたことにも傷ついたりします。
こうした精神的な負担が鬱のような傾向を引き起こし、これが長期化すると鬱病を発症してしまうリスクを高めてしまうと考えられます。

糖尿病の治療で避けては通れない食事制限は、精神的な疲れやストレスを感じさせてしまう原因のひとつかもしれません。一概にすべての患者がそうとは言い切れませんが、糖尿病を患ってしまう方は食事制限とは無縁の生活を送ってきているはずです。もしも糖尿病を発症する前に、「食べたいものを好きなときに、好きなだけ食べる」という食生活を送っていたなら、治療とはいえ食事制限はつらく、精神的に苦しいものかもしれません。また、食事や飲酒によってストレスを解消していた方であれば、食事制限によってストレスのはけ口を失ってしまうため、余計にストレスがたまり精神的負担は大きくなるはずです。

さらに、糖尿病を患ったことで生まれる不安も大きなストレスとなります。例えば、告知された瞬間の心理的混乱は精神的なダメージになりやすく、病気を認めたくない思いや悲しみから大きなストレスとなります。「本当に病気が治るのか」「一生このままなのではないか」「合併症になるかもしれない」「治療費は全額いくらになるのだろうか」など、病気になることで感じる不安や憤りが常に付き纏うことで生じるストレスは、鬱のような傾向を引き起こしてしまうだけでなく、鬱病そのものも引き起こしてしまうリスクがあるのです。

こうしたストレスの感じ方は患者の性格によっても異なるのですが、不安感が強い方や神経質な方、責任感が強い方などはもともと鬱病になりやすいとされているため、糖尿病からの鬱病併発の危険性を高めてしまう恐れがあります。例えば、責任感が強い方が糖尿病になると、自分が病気になったことで家族だけでなく会社にも心配や迷惑をかけてしまったと自分を責める傾向があるようです。過去の言動を後悔し、自分を責めてしまうことで鬱の傾向に陥りやすいといえます。

糖尿病の患者が鬱病を発症した際に大変なことは、治療がなかなか進められなくなることです。鬱病の症状のひとつに、気力の喪失と呼ばれるものがあります。この症状に陥ってしまうとやる気が起きなくなり、物事に対して簡単に諦めてしまうようになります。糖尿病と向き合うことができなくなり、治療に向けて頑張ることができなくなってしまうのです。
糖尿病と鬱病の治療を並行して行うことは困難なため、なるべく鬱病を発症しないような取り組みを行うことが望ましいといえます。

そもそも、糖尿病は糖代謝の異常によって引き起こされます。糖代謝の異常に陥るとブドウ糖を代謝できず、細胞一つひとつに必要なエネルギーを生み出すことができなくなってしまうのです。
人間の脳は、体全体が必要とするブドウ糖の約20%を必要としているとされています。仮にブドウ糖が不足してしまうと脳は本来の機能を果たせなくなり、イライラしたり集中できなかったりとさまざまな弊害が発生してしまうのです。
なお、イライラしたときに甘いものを食べると治まるという方がいますが、糖分を摂取することで不足していた栄養が脳へと運ばれたことが原因だと考えられます。

糖代謝の異常に陥っている糖尿病患者は、ブドウ糖をエネルギーに変換することができず脳細胞に必要な糖が血中にたまってしまうため、脳細胞に十分な栄養(糖分)を送ることができません。そのため、脳の機能が低下し、上述したようなイライラや集中力の低下などが起こります。そして、やがて鬱病のような傾向がみられるようになると考えられるのです。
前段落でも述べたように、もしも鬱病の原因が脳機能の低下によるものなら、脳に栄養を送ることができない糖尿病患者が鬱病を併発してしまう可能性はゼロではないのかもしれません。

 

まとめ

糖尿病と鬱病の関係については、まだまだ明確な答えが出ているわけではありません。しかし、糖尿病と鬱病それぞれの症状をみると、少なからずお互いの病気を発症させる要素にはなっているのかもしれません。
病気ゆえの不安や心配、ストレスや乱れた生活習慣などは、体と心に大きな負担をかけてしまいます。なるべくストレスをためないよう自分なりの発散方法を見つけることが大切であり、前向きに治療に取り組むことが二次的な病気を防ぐことにもつながるのではないでしょうか。

 

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