糖尿病と甲状腺の病気との関係は?ーその2

糖尿病と甲状腺の病気との関係は?ーその2

前回は、甲状腺の働きについて、そして糖尿病との関係についてお
話しました。甲状腺は「エネルギッシュに生きるためのホルモン」
を分泌し、糖を分解する働きもあるのですが、だからといって甲状
腺ホルモン分泌されればされるほど良いというわけでもなく、過剰
になることでも、また高血糖を招いてしまうとお話しました。

要はバランスなんですね!

さて今回は、甲状腺と糖尿病の関係についてさらに深く掘り下げ
ていこうと思います。どうぞ最後までお付き合いを!

甲状腺と糖尿病の関係その2

甲状腺機能と糖尿病の関係を理解するうえでもう一つ大切なのが、
1型糖尿病との関係です。

糖尿病の中でも特に、1型糖尿病と甲状腺機能の疾患の関連は深
く、1型糖尿病患者は、他の人に比べ甲状腺疾患の発症率が30%高
いともいわれるほどです。研究者によっては、甲状腺疾患と1型
糖尿病は「姉妹」のような病気であるという人もいるのです。

その理由は1型糖尿病と甲状腺機能異常は同じく「自己免疫疾患」
と言われる種類の病気だから。ではここで、「自己免疫疾患」に
ついて少し説明しましょう。

本来、体には外界にある異物や自分の体の中に侵入した有害な異
物や細菌、ウイルスに対して戦い、体を防御するための「自己免
疫」という存在があります。これは、ちょうど城を守る兵隊のよ
うな役割を果たします。

しかし何らかの理由で、これらの兵隊が、自分の体の一部を勘違
いして敵とみなしてしまいます。すると、敵か味方か、見分けが
つかなくなり、見境なく攻撃してしまいます。この状態が、自己
免疫疾患です。

1型糖尿病は、生活習慣病である2型糖尿病と違い、先天的に、膵
臓のインスリン分泌器官である「β細胞」という組織が破壊され
てしまい、インスリンが分泌されなくなってしまう病気です。

なぜこのようなことが起こるかといえば、この破壊された組織を
誤って敵とみなしてしまうからなんです。兵隊が誤って破壊を促
進させてしまうのが1型糖尿病です。ただし、患者さんの中にはこ
れが見つからないままの人もいるそうです。

一方、甲状腺機能異常も同じく、自己免疫疾患です。そして困っ
たことに、自己免疫疾患というのは、1つあると、別の自己免疫疾
患を発症するリスクも高いと言われています。先ほどの兵隊の例
で言えば、そもそも備わっている兵隊が勘違いしやすい性質を持っ
ているため、体内のあらゆる部分を誤って敵とみなしてしまうわ
けですね。

自己免疫疾患の概念自体がまだ比較的新しいので、完全な解明は
まだまだ時間がかかりそうですが、現在までに次のようなことが
分かっています。

1型糖尿病患者の多くは、甲状腺機能低下症を発症しますが、そ
の一方で、10%は機能亢進症を発症します。通常は、1型糖尿病
を発症したあとに甲状腺疾患が見つかるケースが多いようです。

ただし近年は、以前よりも遅く30代~50代で1型糖尿病と診断さ
れる人が増えており、この場合は甲状腺疾患を先に発症している
可能性も高いそうです。甲状腺疾患が先か1型糖尿病の発症が先か
については諸説ありますが、甲状腺が完全に破壊されるまでの期
間は人によって異なるため、症状が出るまでに、数カ月のことも
あれば、数十年のこともあるそうです。

自己免疫疾患という、そもそもの原因が同じであるため、これら
の症状もまた互いに影響しあっています。すなわち甲状腺疾患は、
1型糖尿病患者の血糖値に影響を及ぼしています。

研究者によれば、「血糖コントロールが非常に困難な患者は甲状
腺を疑う。甲状腺機能低下症に気付いていない場合、説明できな
い低血糖が生じ、甲状腺機能亢進症では説明できない高血糖が生
じる」とのことですから、甲状腺疾患と1型糖尿病は、自己免疫疾
患をベースに互いに分かちがたく結びついているとも言えそうで
す。

糖尿病とバセドウ病

これまで、甲状腺機能異常性と糖尿病の関係は、密接なものがあ
るとお話してきましたが、「似ているけど異なる」というものも
あります。誤診を招きやすい病気についてお話していきましょう。

糖尿病と間違えやすい甲状腺の病気の一つが、バセドウ病(甲状
腺機能亢進症)です。ちょっと変わった名前ですが、この「バセ
ドウ病」という病名は、1840年にこの病気を研究発表したドイツ
の医師カール・フォン・バセドウにちなんで名づけられました。

ちなみに、ドイツ医学の流れをくむ日本ではバセドウ病と呼ばれ
ていますが、ドイツ語圏以外の国では、もうひとりの研究者であ
るイギリス人医師の名前にちなんで、グレーブス病と呼ばれてい
ます。同じ病気でも名前が違うなんて面白いですよね。

バセドウ病の症状は、次の3つが代表的なものです。すなわち、甲
状腺腫、眼球突出、動悸等。甲状腺腫の症状があると、甲状腺が
腫れるため首の前面が全体的にふくらみ、太くなったように見え
ます。

また、眼が出ているように見える「眼球突出」も有名な症状です
が、これはさほど多くはありません。バセドウ病も糖尿病同様に
食欲が増し、体重が減少します。疲れやすいなどの症状や血糖値
も高くなり、尿糖が出るため、しばしば糖尿病と間違われます。
しかし、甲状腺の治療により(抗甲状腺剤など)甲状腺が正常と
なり、高血糖や尿糖が見られなくなります。

甲状腺機能異常症の中でも、バセドウ病と糖尿病の関係は非常に
複雑なものがあります。お話したように、バセドウ病自体が糖尿
病と似た症状であるうえに、バセドウ病と糖尿病を併発している
ケースもあるのです。

その場合は、両方の治療を行うことが必要になります。さらに、
バセドウ病が進行するに伴い、糖尿病が出現する「2次性糖尿病」
というタイプもあるため、見極めは極めて難しくなります。

いずれにしてもこのような合併タイプは、糖尿病のコントロール
がたいへん不良となります。また、ブドウ糖負荷試験の血糖値は
「糖尿病型」であり、インスリン分泌も悪く、糖尿病と診断され
ることが多いようです。

今回のまとめ

糖尿病と甲状腺機能異常症の関係、お分かりいただけたでしょう
か。いずれも、「ニワトリと卵の関係」または、「姉妹の関係」
といったように、はっきりと因果関係を区別できないのが最大の
特徴であります。

しかしいずれにしても、これらの症状は一方が症状出るともう一
方が生じていることが多いのがポイント。糖尿病の方の場合は、
常日頃から甲状腺の数値に気をつけるようにしておくとよいでしょ
う。

・甲状腺機能と1型糖尿病は、同じ「自己免疫疾患」である

・自己免疫疾患は、一つ発症すると他の疾患も発症しやすい

・バセドウ病の症状は、糖尿病と間違われやすい

・バセドウ病と前後して糖尿病を合併することもあるので注意が必要

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