糖尿病と甲状腺の病気との関係は?ーその1

糖尿病と甲状腺の病気との関係は?ーその1

甲状腺と聞いて、どんなものか「パッ」と思い浮かべられる方は
少ないかもしれませんね。そもそも、どこにあるのか分からない、
という方もおられるかも。

ですが、甲状腺と糖尿病の関係は、実はとっても奥深く、決して
知らないままでは済まされないものなんです。

甲状腺ってなに?

甲状腺と糖尿病の関係をお話しする前に、まずは甲状腺そのもの
についてご説明していきましょう。

甲状腺は、ふつう外見では確認できませんが、簡単にその存在を
知ることができます。指先で喉のあたりをそっと撫でてみてくだ
さい。男性であれば喉ぼとけのやや下、女性であれば一番出っ張
っている骨の部分がそうです。

この場所を強く押すと、呼吸が詰まったようになりますがこれは
この部分に空気の通り道である「気管」が圧迫されているからで
す。

甲状腺は、この「気管」の全面に巻き付くように存在しています。
ちょうど蝶が羽を広げたような形であり、厚さが1から2cm、上下
幅が5センチ程度、重さが約20g程度の小さな器官です。

この小さな器官が、我々にとって重要な役割を果たしています。
甲状腺の役割は、一言で言うと甲状腺ホルモンを産出することに
あります。

甲状腺ホルモンの役割は多岐にわたりますが、大きくまとめると
「エネルギッシュに生きるためのホルモン」です。活動するため
に必要なエネルギーを作り、快適な生活を送るためになくてはな
らないホルモンを合成しているのが甲状腺なのです。

甲状腺から分泌されるホルモンは、サイロキシン、通称T4と、ト
リヨードサイロニン、通称T3がメインです。覚えにくい名前です
ので、カタカナは覚えられなくても構いません。略語である、T3、
T4とだけ覚えておきましょう。健康診断などでも、T3、またはT4
と表記されることがほとんどです。

さて、甲状腺機能の異常には、甲状腺ホルモンの低下と亢進の2種
類があります。甲状腺機能低下症の典型的な症状は活動力減退や抜
け毛、体重増加、寒がり、便秘、皮膚乾燥、重い月経、集中力低
下などです。

一方、甲状腺機能亢進症は、集中力低下、暑さに耐えられない、
頻繁な排便、多汗、多食、不測の体重減少、情緒不安、視認でき
る喉のしこり(甲状腺腫)、神経過敏、不規則な月経周期などで
す。

「甲状腺の説明はいいけど、糖尿病とどう関係があるの?」と思っ
た方もいるかもしれません。

ではここで、糖尿病との関係について説明しますね。

甲状腺ホルモンは、おおまかに言うと「エネルギッシュに生きる
ためのホルモン」ですが、その働きには大きくわけて4つあります。

一つが、体の基本消費エネルギーである

「基礎代謝率の亢進」

「タンパク質の分解」

「脂質代謝の促進」

そして最後が、「糖代謝作用」です!

ここで日ごろから、糖尿病について気をつけている皆さんなら、
ピンとくでしょう。そう、甲状腺ホルモンの持つ「糖代謝作用」
は、まさに糖尿病の症状に深く関与するのです。

甲状腺と糖尿病の関係 その1

糖尿病と甲状腺の関係について、結論から先に言いましょう。こ
れらの関係は「ニワトリと卵の関係」と似ています。ニワトリは
卵から生まれますよね。ということは、卵はニワトリよりも先に
存在していることになります。では、最初の卵はどのようにして
発生したのでしょう?どこかのニワトリが生んだに違いありませ
んね。

このように、どちらが原因で、どちらが結果かをはっきりと言い
きれない関係を、「ニワトリと卵の関係」と言いますね。

回りくどくなってしまいましたが、甲状腺と糖尿病の関係もまっ
たく同様です。糖尿病は甲状腺の機能に影響を及ぼしますが、同
時に甲状腺の機能もまた糖尿病の症状に影響を及ぼすのです。

症状としては互いに異なるけれども、根幹は似ているというわけ
です。最近では、これらの病気をひとまとめとして「糖尿病甲状
腺内科」として扱っているところもあるほどです。

甲状腺と糖尿病の症状のあり方はバラエティに飛んでいるため、
一言では言えませんが、はっきりしていることは甲状腺の機能が
亢進した状態になればなるほど、高血糖を招きやすくなるという
ことです。

ここで先ほどの「糖代謝」の話が出てくるわけです。甲状腺ホル
モンは「エネルギッシュに生きるため」にあるわけですから、基
礎代謝を挙げたり、糖代謝を向上させたりするのでしたね。当然、
糖代謝が向上すれば、血糖値も下がるはず、と思うかもしれませ
ん。

でも、実際はそう簡単ではないのです。甲状腺機能が亢進すると、
甲状腺ホルモンの分泌がさかんになり、腸からの糖の吸収が亢進
されます。通常であれば、糖は胃から腸へ流れていく過程の中で
ゆっくりと吸収されますが、甲状腺ホルモンが過剰にあると、よ
り早く糖を吸収せよという命令が出ます。

そのため、胃よりも吸収が早い腸内において速やかに糖が吸収さ
れるのです。たとえば、同じ痛み止め薬でも、飲み薬と座薬とで
は、効果の発現が座薬のほうが早いことからも分かるように、腸
は胃に比べて吸収速度が早いのです。

そのため腸から吸収された糖は、瞬間的に血液中に多く入り込み、
血糖レベルがぐんと上がります。これを、急峻高血糖(きゅうしゅ
んこうけっとう)と言います。これは食後すぐ(およそ30分前後)
に急激に血糖が上昇し、その後すぐに正常値に戻るというもので
す。

甲状腺機能亢進症では、この急峻高血糖がよく見られます。その
ため体内では、血糖の乱高下が慢性的に起こるようになってしま
い、それを抑えようとインスリンが慢性的にだらだらと分泌され
てしまう状態になってしまうのです。

すると体がインスリンに慣れっこになってしまうため、血糖のコ
ントロールがしっかりとできなくなってしまい、結果的に高血糖
を招きやすくなってしまうのです。

今回のまとめ

糖の代謝や吸収の促進を行う甲状腺ホルモンの分泌というのは、
一見すると糖尿病の人にとって助けになるように思われますが、
度が過ぎれば高血糖を招いてしまうことがお分かりいただけたで
しょうか。

まさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」。インスリンや甲状腺ホ
ルモンなどの体内ホルモン分泌量は、多すぎても少なすぎてもダ
メで、適量だからこそ正しく作用するということを覚えておきま
しょう。

・甲状腺は首の喉ぼとけのあたりに位置する蝶形の器官

・「エネルギッシュに生きるためのホルモン」を分泌する

・甲状腺機能が亢進すると糖代謝が進むが、急激すぎるために逆
 に高血糖を招く

・甲状腺機能が低下しても亢進しても、糖尿病に悪影響をもたらす

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