糖尿病の急性合併症について その2

糖尿病の急性合併症について その2

前回は、糖尿病の急性合併症として「糖尿病性ケトアシドーシス」
と「高浸透圧高血糖症候群」の2つについて説明しました。

このいずれも、なんらかのきっかけをもって体内で高血糖が進み、
数時間から数日程度の進行で、場合によっては生命の危機にさらさ
れる緊急症状であることをお話しましたね。

さて、これらを起こさないようにするにはどうしたらいいのでしょ
うか。今回は、急性合併症から身を守る方法にクローズアップし
ていきます。

急性合併症の体験談

前回もお話したとおり、急性合併症は突然生じます。よって対処
法は人により違いますね。まずは、急性合併症を経験した2人の方
のお話に耳を傾けてみましょう。

Aさん(48歳男性・1型糖尿病)

「1型糖尿病である私は、若いころに発症したために、インスリン
注射をしていることを除いては、安定的にコントロールができ
ていて、これまで他の人とあまり変わらない生活を送っていま
した。

しかし、ある冬、インフルエンザにかかってしまい、2日寝込
んでしまいました。単身赴任だったので側に誰もおらず、とに
かく口に入るものを水と飲み、一晩中高熱と戦っていたのでした。
当然、インスリンを打つ気力もありませんでした。食事も取っ
ていなかったので打つ必要などないと考えていました。

翌朝、ひどい吐き気と腹痛、冷や汗がでて喉がカラカラに乾い
ていました。インフルエンザとは違う症状に、直感的に『これ
はまずい』と思い救急車を。救急隊員が到着するころには意識
が朦朧としており、自分ではどうすることもできない状態でし
た。

救急搬送された先の医師からは、血糖値が600近くあったと聞い
て再度倒れそうになりました。まさかそんなに上がっているな
んて……。自分の場合、意識のあるうちに救急車を呼べたのが
不幸中の幸いでした」

Bさん(52歳女性・2型糖尿病)

「忘れもしない、去年の夏の日。孫とハイキングに出かけた先
で私はハチに刺されたのでした。ハチが襲ってきた際に孫を
かばったために複数箇所刺されてしまい、手足のあちこちが
熱を持って腫れ上がりました。慌てて駆け込んだ病院で、炎
症を抑えるための点滴を打ってもらい内服薬をいただきまし
た。

腫れた箇所が落ち着いてきたと思った翌日から、なんとなく
トイレの回数が増えました。それと喉の渇き。糖尿病経口薬
こそ飲んでいましたがコントロールは良好でしたので、それ
が高血糖のサインだとはまったく気づきませんでした。しか
しあまりにも尿回数が増えたのを家族に指摘され、病院に付
き添ってもらいました。

そこで初めて自分が、『高浸透圧高血糖症候群』であると聞
かされたのでした。頻尿のほかにはだるさだけだったので、
『放置すれば危なかったよ』と医師にいわれて驚きました。
原因は、ハチさされのときに処方されたステロイド薬だろう
といわれました。あのときは焦っていたので、糖尿病がある
ことを医師に告げるのを忘れていたのです」

急性合併症から身を守るためには

体験談を読んでわかるように、急性合併症はある日突然やってき
ます。そのため急性合併症を避けるには、日頃から準備をしてお
く必要があります。

●体調が悪い日(シックデイ)のときには

糖尿病を持つ人が何らかの病気にかかったとき、それをシックデ
イといいます。糖尿病とは関係のない風邪や腹痛、下痢にまで注
意をしなくてはいけない理由はなんでしょうか。

それは、私たちの体は病気になるとストレス反応として血糖が上
昇するようにできているからです。シックデイというのは、糖尿
病をコントロールしづらくなり、場合によっては急激に悪化させ
てしまう可能性のある日なのです。シックデイのときに下記に当
てはまる場合は、かかりつけの病院や主治医に相談することが推
奨されます。

【シックデイのサイン】

・まったく食事が摂れない

・下痢や嘔吐が続く

・腹痛が強い

・38度以上の熱が続く

・高血糖が続く(300mg/dl以上)

・薬やインスリンの量をどうしたらいいのかわからない

シックデイのなかでも風邪は要注意です。風邪によって食事が摂
れないとき「食事が摂れない=血糖はあがらない」と考えてはい
けません。

先にお話したとおり、シックデイのときには私たちの体には大き
なストレスがかかっており、そのストレスに対抗するために分泌
されるホルモンは、血糖値を上昇させインスリンの働きを抑制す
る働きがあります。

また、熱のために脱水などがあると、血液が濃縮しいっそう血糖
値があがってしまいます。ですので、原則として、シックデイで
あってもインスリン注射はやめてはいけないことになっています。
経口薬の場合は主治医と相談するのが一般的です。

●糖尿病手帳を持っていますか?

糖尿病になると、病院で「糖尿病手帳」がもらえます。ここには
血糖値やHbA1cなど、糖尿病のコントロールの状態を記録すること
ができます。そしてノートには、いつも肌身離さず身につけてい
るようにと書かれています。万一、低血糖や高血糖で倒れたとき
の用心にです。

急性症状のために突然、駅で倒れてしまったとしましょう。当然
ながら倒れている本人は自分の病状を説明できません。そのため、
病院に搬送されたとしてもその人がどういった理由で倒れたかわ
からないため、検査をしなくてはならず対応に時間がかかってし
まいます。そのときに糖尿病手帳を携帯していれば、体の状態を
すぐに伝えることができ、効果的な治療をいち早く受けることが
可能です。

自分で状態を把握することはもちろんですが、誰かに伝えるため
にも、糖尿病手帳を持つようにしましょう。やや大きめですが薄
いノートタイプなので、かさばらずに持ち歩けますよ。

●女性は、月経周期にも気をつけましょう

女性の患者さんの多くは、月経周期にあわせて血糖値が変化しま
す。ふつう月経の数日前から血糖値が上がり始めます。生理が始
まるとすぐ下がる人と、すぐには下がらない人がいますが、生理
が終われば普段の血糖値に戻ります。ただし、どれくらい血糖値
が高くなるかは、人それぞれです。自分のパターンを把握するこ
とで、急性合併症がおこりやすい日を事前に予測することができ
対策を立てることができます。毎日血糖値を予測し、月経パター
ンと重ね合わせることで、血糖値の変動がわかるようになります。

今回のまとめ

糖尿病急性合併症の実体験と対策、いかがでしたか。

ポイントは、「過度に怖れず、日頃から準備を」という点につき
ます。備えあれば憂いなし。しっかりと準備して、いざというと
きも心配なく乗り越えていきましょう!

・風邪や腹痛といった「シックデイ」には血糖値が上がりやすい

・シックデイの際には、場合によっては主治医に連絡をする

・糖尿病手帳を持ち歩くようにする

・女性の場合は月経周期による血糖値変動も気をつける

→ 関連項目 糖尿病性網膜症。 症状や治療などを把握しよう

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