糖尿病と関節痛の不思議な関係-その2

糖尿病と関節痛の不思議な関係-その2

前回は、糖尿病の人はそうでない人に比べて関節症が生じやすいことをお話しました。
インスリン分泌異常があると骨の代謝にも異常が生じやすく、変形性関節症をはじめ、さまざまな骨異常を引き起こしやすいからでしたね。

今回はもうひとつの理由をお話したあと、日常生活でできる関節を守る工夫をお話します。最後までお付き合いください。

※「糖尿病と闘う」とは、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせて、医師の指導のもとで、糖尿病が悪化しないように真剣に取り組むことを意味します。特定の食品が糖尿病に効くことを示唆するものではありません。※ご紹介する声は、特定の食品が疾病に効くことを示唆するものではありません。あくまでも、読者の皆さまが医師の指導のもとで食事療法・運動療法・薬物療法に取り組まれた結果です。

糖尿病が関節痛を引き起こす理由 その2

関節に障害が起こりやすいもうひとつの理由が、糖尿病の三大合併症のひとつである神経障害です。
神経障害は糖尿病を語るうえで欠かせない合併症のひとつですから、ここで簡単におさらいをしておきましょう。

私たちが意識せずとも適切な体温を保ち、手足を自由に動すことができるのは、脳から脊髄を通って全身にのびる神経系統の働きによるものです。ところが、糖尿病になると、全身の血管が高血糖のためにダメージを受けます。その過程で細い毛細血管にも傷がおよび、十分な酸素と栄養が運ばれなくなります。

すると、そこから栄養を受けていた神経に悪影響が生じてしまうのです。この糖尿病性神経障害は、自覚症状のない人も含めると30~40%にみられる頻度の高い合併症です。

さて、神経にはさまざまな働きがありますが、そのひとつに自己防衛機能があります。関節には体重や外力などいろいろな荷重が絶えずかかっており、動作によっては体重の何倍もの負担になっていることがあります。それらをうまく避け、関節を守ろうとする働きを神経系統が司っています。

意外と知られていませんが、関節には感覚神経がないため、強い荷重を受けて傷ついても、多少のことでは痛みを感じることができず保護できません。だからこそ、神経系統がダメージを避ける役割を負っているのです。

しかし、糖尿病性神経障害を合併し、この神経にまで障害がおよぶと、関節の防御機構がなくなり、関節に直接ダメージが加わるようになってしまいます。初期の段階でレントゲン撮影をしてみると、関節が硬直して体液がたまっていることがあるので、しばしば変形性関節症と間違われます。

ただし痛みがないため、本人が気づくことはあまりありません。放置すると、関節にたまった余分な体液と骨の異常成長のために関節が腫れます。関節を動かすと、関節内に浮遊している骨の断片のために、ギシギシときしむような音がすることもあります。この状態をシャルコー関節といいます。

どの関節でもシャルコー関節は起こりますが、糖尿病の人で多いのは足の関節といわれています。変形が進んだシャルコー関節の治療はたいへんむずかしく、しばしば手術が行われます。膝関節では、関節を固定して動かなくする関節固定術や、関節そのものを人口の部品と置き換える人工関節置換術等が行われます。

しかし、固定した骨がつながらなかったり、経年とともに人工関節がゆるんだりすることもありますから、手術も万全ではありません。早期に発見して、関節がこわれる前に外力から関節を保護する初期治療が大切となります。

関節を守るためにできること

一度こわれた関節は、完全には元の状態に戻すことができません。そのため日頃から気をつけ、関節の破壊を進行させないことが大切。「痛みがないから安心」ではいけません。

「痛みが出る前に対処」が正解なのです。ここでは、日常生活で骨を守るためにできる、ちょっとしたコツ(骨)をお話します。

・正しい姿勢の維持

日頃の動作や姿勢で無理があるとそれが積み重なり、やがて関節炎になることも。無理な体勢はNG。特にいけないのは、「ながら動作」や「ぞんざいな姿勢」。落ちたものを拾うときに膝を曲げずに屈んで拾ったり、この方が楽だからとふんぞり返った状態で椅子に座ったりしてはいけません。1つずつ丁寧に行いましょう。

特に気をつけて欲しいのが関節の「ねじれ」。足先が前を向いているのに顔が横を向いていたり、膝の向いている方向と動作を行う方向がねじれていたりすると、一気に関節にダメージが加わってしまいます。作業の際は急がず、ひとつひとつの動作を丁寧に行うことが一番大切です。

・O(オー)脚の方は注意

足を揃えて立ったときに、膝の間がO(オー)の形で開いている人がいます。これらO脚の人は普通の動作であっても関節の内側がすり減りやすく、膝関節にダメージが加わりやすくなります。O脚かどうかわからないという人は、普段はいている靴の靴底をみてみましょう。

外側が削れている人はO脚の可能性が高いです。その場合は、足の親指に重心がくるよう意識して歩くようにするとよいでしょう。
また、脚を組まない、足を崩したかたちで座らない等も大切です。

・食前にはなめこの味噌汁を

なめこには関節をスムーズに働かせるコンドロイチンが豊富に含まれています。それだけでなく、水溶性の食物繊維も豊富に含まれているため便秘の改善や血糖値の低下といった糖尿病の人に嬉しい効果も期待できます。おすすめは食前です。ごはんなどの糖質を食べる前になめこを摂ることで、血糖値の急上昇を予防することができます。

・ウォーキングを取り入れる

関節は、過度に負担をかけると壊されてしまいますが、適度であれば逆に柔性を増すことが知られています。負荷のかかりやすいジョギングは心配……という方にお勧めしたいのがウォーキング。すこしの負荷で関節の動きをなめらかにし強度を高めることができるうえ、血糖値も下げられる、糖尿病の方にとっては最適な方法です。ポイントは、太ももをなるべく高く上げ、早歩きで歩くこと。だらだらと歩いてはいけません。手足をしっかり上げ、テンポよく歩きましょう。20分から50分程度が適切だといわれています。

今回のまとめ

「糖尿病と関節痛の不思議な関係」お分かりいただけたでしょうか。一見無関係に見えるこの2つですが、実は意外なほど結びついていたのです。

しかし何も大変なことはありません。幾つかの基本ルールを守りながら引き続きしっかりと糖尿病と闘っていけば、これらの症状など恐るに足りないからです。

・糖尿病性神経障害によって、シャルコー関節が生じることがある

・ひとたびシャルコー関節になると、治療は困難

・食事や運動といった血糖値調整がなにより大切

・日頃の動作に気をつけ、関節にやさしい動きを心がける

→ 関連項目 糖尿病の怖い症状-糖尿病性神経障害

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