糖尿病と関節痛の不思議な関係 ー その1

糖尿病と関節痛の不思議な関係 ー その1

「関節痛」。医療用語ではありますが、耳にしない日がないといっていいくらい一般的な言葉であります。
「最近腰が痛くてさあ」
「腕が肩より上にあがらないんだよね」「階段を登ると膝が痛くってねえ」等々。

関節の痛みは誰にとっても馴染み深いものといえましょう。しかし糖尿病を持つ人の場合、すこしばかり話が違ってくるのです。

「まさか、糖尿病と関節痛が関係あるっていうつもりじゃないだろうな」と思ったあなた。お見事!正解です。

糖尿病という全身疾患は、血管のみならず関節にまでも影響をおよぼすことが最近わかってきたのです。今回は「糖尿病と関節痛の不思議な関係」についてご紹介いたします。

一見関係のなさそうなこの2つの不思議な関係を紐解いていきましょう!

※「糖尿病と闘う」とは、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせて、医師の指導のもとで、糖尿病が悪化しないように真剣に取り組むことを意味します。特定の食品が糖尿病に効くことを示唆するものではありません。※ご紹介する声は、特定の食品が疾病に効くことを示唆するものではありません。あくまでも、読者の皆さまが医師の指導のもとで食事療法・運動療法・薬物療法に取り組まれた結果です。

糖尿病と関節痛

糖尿病と関節の関係に入る前に、関節痛についてお話しておきましょう。
関節痛を引き起こす原因の多くが、関節炎と呼ばれるものです。関節炎とは関節およびその周囲に炎症を伴う疾病の総称のこと。

関節炎の症状はさまざまです。局所症状であれば関節周囲の腫れや赤み、押したときの痛み、こわばり、動きにくさなど。全身症状は発熱や全身倦怠感、体重減少などがあります。全身症状としての関節炎はリウマチなど他の病気が原因であることが多いため、今回のテーマでは除外し、前者の局所的関節炎をメインにお話していくことにしましょう。

関節炎は、肩・手首・股関節・膝・腰等々あらゆる部位に生じます。局所的な関節症にはいろいろなものがありますが、代表的なのが経年とともに生じる「変形性関節症」です。関節は骨と骨とのつなぎですが、骨同士では柔軟に動きませんから、その間に軟骨という組織があります。これがクッションのように骨と骨を支え、なめらかな動きが可能となるのです。

しかし、何らかの理由でこれらのクッション擦り切れていくと、骨同士が直接ぶつかるようになってしまい、痛みや腫れが生じます。この状態が続くと、軟骨の下の骨が硬くなったり、骨棘(こつきょく)という突起ができたりして、関節の形状そのものに変形が起こります。さらに放置していると、関節の動きが失われてしまいます。はじめのうちは動き始めなどに関節痛を感じるだけですが、進行するに従い痛みは強くなり、最終的には関節そのものの形も大きく変形してしまいます。

先もお話したように、変形性関節症はいきなりは生じません。最初は、炎症や周囲炎という形で起こります。そのひとつが、肩関節周囲炎、いわゆる五十肩です。五十肩といわれるくらいなので中年期以降の人には馴染み深い病気と思われがちですが、発症率は高くなく、一般的には人口の2.5%程度。ただし、糖尿病を持つ人の場合ですと、この数値は一気に11%にまで跳ね上がります。肩関節周囲炎の患者さんの4分の1が、糖の代謝に問題がある耐糖能異常であるという研究もあるほどです。

米国整形外科学会は、このように発表しています。「五十肩は糖尿病を持つ人により多く生じる。糖尿病を持つ人の10から20%に生じているだろう」と。糖尿病と関節症にはこれほど、密接な関係があるのです。

糖尿病が関節痛を引き起こす理由その①

ではなぜ、糖尿病を持つ人は関節症を合併しやすいのでしょうか。
理由のひとつが、骨にありました。糖尿病を持つ人は一般の人に比べて、骨にまつわるいろいろな障害が起きる率が高いのです。

たとえば、骨粗しょう症。糖尿病の患者さんでは非糖尿病の方と比較すると、骨粗しょう症発症数が多いといわれています。
骨粗しょう症があると、あらゆる骨トラブルが起きやすくなります。欧米でもごく最近、大規模臨床試験によって、糖尿病患者さんでは健常人に比べて骨折頻度が約2倍程度にまで増加していることが明らかとされました。

一方で真逆の症状も引き起こされています。
骨粗しょう症と反対に骨が過剰に形成されてしまう病気があるのですが、この場合非糖尿病では40歳以上で2~4%なのに対し、糖尿病では13%。60代の糖尿病の患者さんでは20%がこの病気を合併しているというデータすらあります。

骨以外にも、糖尿病性手興奮症といって、手指が拘縮して両手の指と手のひらを合わせることができなくなる病気があります。これも一般の人に比べると多く発症し、全糖尿病の患者さんのうちなんと3人に1人にみられるとさえ言われています

糖尿病の人に、関節および骨の異常が起こりやすい理由ははっきりとはわかっていません。しかし、体の中で骨を形成する骨代謝とインスリンは密接な関係があるといわれており、糖尿病の人はインスリン代謝に問題があるために、骨代謝も異常をきたすのではないかといわれています。

骨を造る細胞の働きを弱めたり、腸管からのカルシウム吸収を増やす活性型ビタミンDの腎臓での産生を低下させ、骨量を減少させるため、骨を正常に保つにはインスリン分泌の安定が必要と考えられているのです。インスリンの不足は血糖値を上昇させるだけでなく、骨にも影響するということを覚えておきましょう。

今回のまとめ

一見関係のなさそうに見える「糖尿病」と「関節炎」。

しかし、両者は「インスリン分泌」を鍵として関連していたのです。糖尿病があると、関節の中心である骨の代謝に異常をきたしやすいため、一般の人と比べると関節炎や変形性関節症といった疾患を早期に発症しやすいということがお分かりいただけたでしょうか。

・関節症にはさまざまなものがあるが、加齢とともに生じる代表が「変形性関節症」

・変形性関節症になると、痛みが続き骨そのものが異常をきたしてしまう

・糖尿病の人はそうでない人に比べて、関節炎の発症率が高い

・インスリン分泌異常が、骨代謝異常のひとつの原因になっている

 

→ 関連項目 合併症ってなに?

 

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