糖尿病に克つ食習慣のパターンとは?

糖尿病に克つ食習慣のパターンとは?

糖尿病を予防・改善するためには、日々の食生活を見直すことが大切です。食事の量や質はもちろん、糖質や脂質、摂取カロリーなど細かな部分まで気にかけ、体に悪影響を及ぼさないよう食事療法(食事制限)を行う必要があります。

しかし、今までの食生活をガラッと変えてしまうと、ストレスがたまってしまう恐れがあります。「◯◯は食べてはいけない」とばかり考えてしまうことで、毎日の食事を楽しくとることができなくなってしまうのです。こうした食事療法は長続きせず、結果的に無意味になってしまう可能性があります。

そこで今回は、糖尿病に克つ食事療法についてご紹介します。効果的なのはもちろん、楽しく実践できる食事療法とは一体どのようなものなのか、一緒に考えてみましょう。

まず押さえておきたい。ストレスフリーな食事療法の基本

糖尿病への効果が見込め、かつストレスをためずに続けられる食事療法で大切になのは、“どの食材を食べるか”という点です。とはいえ、栄養価の高い食材ひとつだけを食べればよい、ということではなく、さまざまな食材をまんべんなく食べることが大切といえます。

たくさんある食材の中でも、特にその季節の旬の食材は積極的に取り入れてほしい食べ物です。なぜなら、旬の食材は旬ではない時期に比べて鮮度がよく、栄養価が高くなっています。また、香り高く旨味が豊富なので、少ない調味料でも素材の味を存分に楽しむことができ、糖分や塩分の過剰摂取を予防することができます。この他、安価で購入できるのもうれしいポイントです。そんな旬の食材を献立に取り入れることで、季節感あふれる食卓にすることができ、これは食事をとることの楽しさにつながります。食事療法をストレスフリーで行うためには、こうした食材の工夫も重要といえます。

もうひとつ、糖尿病の食事療法において大切なのが“どれくらいの量を食べるか”という点です。主食になるご飯やパン、麺類、そして主菜になるお肉は、普段の食事より量を減らすことが望ましいといえます。例えば、豚もも肉なら40~60g/日が目安となります。

「主食や主菜を減らすと物足りなさを感じる」という方には、魚介類をプラスしてみることをおすすめします。イカやエビ、貝類などは低カロリーでありながら、きちんと満腹感を得られる食材です。これを献立にうまく取り入れながら、炭水化物やお肉が減ったさびしさを補っていきましょう。

食事療法を楽しみながら行うカギは、“さまざまな食材を食べる”、“炭水化物やお肉の量を抑える”この2点です。これらを踏まえ、かつ食事の組み立ての基本である“主食+主菜+副菜”の栄養バランスを考えた献立で、ストレスのない食事療法を実践しましょう。

あなたはどれ?調査結果から見る食事のパターン

糖尿病を予防・改善するためには、やはり野菜を中心とした食事療法が効果的です。なぜなら、“高脂肪食品をほとんどとらず、加熱された野菜やサラダなどを好んで食べる人の2型糖尿病の発症率は低い”という調査結果がオーストラリアで発表されたためです。

この調査は、1990~1994年にメルボルン大学の研究者が実施したものです。対象となったのは36,787人の成人で、そのうち2型糖尿病と診断されたのは365人でした。この結果から、研究者は124種もの食べ物や飲み物について主因分析に基づき調査を行い、食習慣を以下の4パターンに分類しました。

1.野菜サラダや豆類、オリーブオイルを好む食生活
2.加熱された野菜やサラダを好む食生活
3.パンや乳製品、お肉などの高脂肪食品を好む食生活
4.フルーツ類を好む食生活

このうち、糖尿病の発症が少ない、もしくは発症につながらなかったのは、1と2と4の食生活でした。その一方で、3の食生活は糖尿病の発症が確実に増えることが確認されています。この結果から、野菜や果物中心の食生活は、2型糖尿病の発症を予防できることが分かります。

食材単体はもちろん、こうした食事のパターンにも目を向けることが、糖尿病の予防・改善への大きな一歩になります。今一度、自身の食事パターンを見直してみましょう。

どういう特徴があるの?地中海式の食生活について

前述した4つの食事パターンの中で、特におすすめなのは“野菜サラダや豆類、オリーブオイルを好む食生活”です。これは地中海式の食生活といい、世界では一般的に食事療法食や健康的な体型にするダイエット食として認識されています。そんな地中海式の食生活は、栄養学的にベストな食事と構成が共通しています。これは、第2次世界大戦後に世界保健機構(WHO)などがメインで行った健康食の研究により判明した事実です。

地中海式の食生活の特徴は、以下の7つです。

1.最も摂取量が多いのは、野菜とフルーツである
2.豆類、イモ類、ナッツ類、ベリー類の摂取量も多い
3.パスタやパンなど、全粒粉を使用した食材を頻繁に食べる
4.脂分として、オリーブオイルを使用する
5.主なタンパク源は鶏肉や魚介、乳製品であり、牛肉の摂取が少ない
6.ヨーグルトなど、発酵させた乳製品が多い
7.食事と一緒に、少量または中量のワインを飲む

このような特徴を持つ地中海式の食生活は、糖尿病の予防・改善に効果的だとされており、その理由はスペインで実施された前向きコホート研究により証明されています。

この研究では13,380人の大卒者を対象に、日々の食生活を4.4年追跡調査しています。その結果、地中海式の食生活を最も順守している人は、最も順守していない人に比べて糖尿病を発症する確率が約8割低かったことが確認されています。

この研究結果から、糖尿病予防のために食生活を見直す際は、地中海式の食生活を参考にすることをおすすめします。

地中海式の食生活に挑戦!ポイントをご紹介

地中海式の食生活を実践するにあたり、押さえておくべきポイントがふたつあります。

1.オリーブオイルを活用する
調理の際に使用するサラダ油をオリーブオイルに変えるだけで、あっという間に地中海式の食生活へ近づけることができます。ただ、中には「オリーブオイルは体によいって聞くけど、結局は油でしょ」と、オリーブオイルの効果に対し半信半疑な方もいるかもしれません。そこで、まずはオリーブオイルの魅力をご紹介します。

オリーブオイルをはじめとする油には脂肪酸が含まれており、これは“飽和脂肪酸”と“不飽和脂肪酸”のふたつに分けられます。前者が血液中のコレステロールを上昇させるのに対し、後者は血液中のコレステロールを低下させる働きがあります。ふたつのうち、オリーブオイルに多く含まれているのは不飽和脂肪酸で、中でも血糖値の上昇を抑える“一価不飽和脂肪酸”が豊富といわれています。この点から、オリーブオイルには動脈硬化を防ぎ、脳梗塞や心筋梗塞を予防する、体にうれしい効果があるといえます。

この他にも、ミネラル類やビタミン類が豊富に含まれているなど、オリーブオイルの魅力はたくさんあります。炒め物をする際にサラダ油ではなくオリーブオイルを使ってみる、マーガリンやジャムの代わりにオリーブオイルを使用するなど、ちょっとした工夫を日々の食生活に取り入れてみることをおすすめします。

2.野菜をたくさん食べる
オリーブオイルの他、野菜をたくさん食べることも地中海式の食生活を実践する上で大切なポイントです。炒め物やサラダ、お漬物などで積極的にとるよう心掛けましょう。

ただ、サラダを食べる際は注意が必要です。なぜなら、たくさん食べても十分な食物繊維や栄養素が得られないだけでなく、油分や塩分たっぷりのドレッシングをかける必要があるためです。これだと、せっかく野菜をとってもあまり意味がなくなってしまいます。そのため、サラダを食べる際は「カットした野菜を電子レンジで軽く熱する(熱湯をかける)」「オリーブオイルをベースにしたドレッシングをかける」などの一手間を加えましょう。

以上が、地中海式の食生活を実践する際のふたつのポイントです。糖尿病の予防・改善をお考えの方は、ぜひお試しください。

生活習慣を見直して、糖尿病知らずの健康体へ

糖尿病の主な原因は、食べ過ぎや高脂肪食品の過剰摂取、運動不足、ストレスなどです。糖尿病の予防・改善のためには、これらを見直す必要があります。

今回、予防・改善法として取り上げている食生活に関しては、脂肪の少ない食材を食べ、かつ食事の量を抑えることが大切です。特に重要なのは、“野菜をたくさん食べる”というものです。栄養価が高いのはもちろん、さまざまな料理で味わえる野菜は、糖尿病の予防・改善の味方です。日々の食事で積極的にとるよう心掛けましょう。

また、前述したポイントを押さえた食事のパターンに、“地中海式の食生活”があります。食事を通して糖尿病の予防・改善を目指すのであれば、このパターンを取り入れるのもひとつの方法です。野菜を多くとるのはもちろん、オリーブオイルを活用するなどして、おいしく楽しく健康体をつくっていきましょう。過度な食事制限は一切必要ないので、ストレスを感じることなく糖尿病を予防・改善することができます。

糖尿病は、誰もが発症する可能性を持っている生活習慣病です。「自分は大丈夫」と安易に考えている間に、魔の手が忍び寄っている可能性があります。健康体を末永く維持するには、自身の努力が必要不可欠です。そのため、常日頃から食生活の他、自身の運動の頻度や生活習慣を確認し、乱れていたときは正しい方向へ戻す必要があります。糖尿病をはじめとする生活習慣病に悩まないためにも、今一度自身の生活を見直してみましょう。

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