運動習慣によって必須微量元素クロムの排泄が減少する
2012/4/19
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クロムは必須微量元素の一つで、糖代謝や脂質代謝に関与し、欠乏すると糖代謝異常を引き起こすとされている。運動習慣がある人はない人に比べ、尿中へのクロム排泄量が減少することがわかった。第59回日本栄養・食糧学会大会で5月14日、椙山女学園大学生活科学部の三田有紀子氏が発表した。
一過性の運動によって、クロムの尿中への排泄量が増加することが以前から分かっていたが、習慣的な運動によって耐糖能異常を起こす人はいないばかりか、逆に、運動習慣は糖尿病の予防や改善に有効とされている。このことから、三田氏らは、運動習慣がある人では、尿中へのクロム排泄量を抑える何らかの機構が存在すると推察した。
女子大学生30人(平均年齢20.7歳)を対象に、エルゴメーターを使用した1時間の運動(負荷は最大心拍数の65%)を行ってもらい、運動前、運動3時間後、24時間後、48時間後の計4回、採尿検査を実施した。また、運動負荷を行う3日前から食事の記録をつけてもらい、貧血の既往歴や運動経験などに関するアンケートを行った。
尿中クロム濃度は、対象者全員でみると、運動3時間後に運動前より有意に低くなり、その後も継続して低い値となった。このため、運動習慣の有無との関連について検討したところ、運動習慣のある人(14人)は、運動前の尿中クロム排泄量が、運動習慣のない人(7人)に比べ、3分の1と低い値だった。食事内容と尿中クロム濃度との関連は特にみられなかった。
三田氏は、「習慣的な運動が尿中クロムの排泄量を抑制する可能性がある。今後、運動習慣の内容について、詳細な検討を加えたい」としていた。
(日経メディカル・【栄養・食糧学会速報】より)
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「高たんぱく食」対「高炭水化物食」、2年後の体重、腹囲で・・・
2012/4/17
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高たんぱく食は満腹感があり、除脂肪体重を維持できるため、高炭水化物食よりも減量効果が高いのではないかとの指摘もあるが、低脂肪であれば高たんぱく食と高炭水化物食のどちらを続けていても介入2年後の体重や腹囲に有意差はないことが明らかになった。6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で、ニュージーランドOtago大学のJeremy D krebs氏らが発表した。
対象は、2型糖尿病でHbA1c<9.5%、BMI≧27kg/m2の30〜76歳の419人。低脂肪・高たんぱく食群(炭水化物40%、たんぱく質30%、脂肪30%)と低脂肪・高炭水化物群(炭水化物55%、たんぱく質15%、脂肪30%)の2群に無作為に振り分けた。両群とも、栄養士によるグループ指導を最初の6カ月は週に2回、その後6カ月は月に1回受けた。対象者には、15g相当のたんぱく質あるいは炭水化物を含む食品の分量がひと目で分かる早見表を渡され、食物の選択はガイドラインに従って自らが行った。
主要評価項目は、体重および腹囲。副次評価項目はHbA1c、空腹時血糖、体脂肪率、血清脂質、血圧、腎機能。評価は登録時、6カ月後、12カ月後、24カ月後に行った。
最後まで介入試験を完了できたのは294人(70%)だった。どの時点でも、高たんぱく食群は高炭水化物群に比べ有意にたんぱく質量摂取量が増加していた。期間中、摂取エネルギー量は両群で低下したが、高炭水化物群の方が有意に低かった。
主要評価項目の体重、腹囲、およびHbA1cは、どちらの群も低下し、両群間の有意差は見られなかった。血圧、たんぱく尿も両群で有意差はなかった。
今回の結果を踏まえてJeremy D krebs氏は、「2型糖尿病患者が長期にわたり体重減を維持するためには、総摂取エネルギー量を低く保ち続けるにはどうしたらよいかを第一に考えるべきであり、たんぱく質と炭水化物の割合については個々が柔軟に捉えるべきであろう」とまとめた。
(日経メディカル別冊編集・学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会より)
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水分をよくとる人は高血糖症になり・・・
2012/4/14
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水分をよくとる習慣のある人は、あまりとらない人に比べて、高血糖症になりにくいことが示された。フランス人のコホート研究(D.E.S.I.R.試験)の成果で、D.E.S.I.R.研究グループを代表してUniversite Paris‐DiderotのR. Roussel氏が、9月12日にポルトガルの首都リスボンで開幕した欧州糖尿病学会(EASD2011)で発表された。
最近の報告によると、身体の水分量の制御にかかわる抗利尿ホルモンであるバソプレシンと糖尿病リスクとの間に独立した関係があることが示されている。ただ、バソプレシン分泌に関して水分の摂取が影響することが知られているにもかかわらず、日常の水分摂取と高血糖発症とに関係があるかどうかは解明されていない。そこでRoussel氏らは、フランス人のコホート研究であるD.E.S.I.R.(Data from an Epidemiological Study on the Insulin Resistance Syndrome)試験の参加者を対象に、水分の摂取と高血糖リスクとの関係を調べた。
対象は、フランスの男女で、年齢は30歳から65歳。登録時に正常空腹時血糖だった3615人を、9年間フォローアップした。この間、参加者には3年ごとに健康診断を受けてもらった。また健診では、毎日の水分、ワイン、ビールおよび甘味飲料の平均摂取量についても問診票などにより把握した。
主要アウトカムは、水分の摂取量別(1日当たり0.5L未満、0.5〜1.0L、1.0L超の3群)にみた高血糖症(空腹時血糖の異常あるいは糖尿病)の発症とし、オッズ比と95%信頼区間で評価した。
その結果、フォローアップ期間中、565件の高血糖症が確認された。交絡因子(性別、登録時の年齢、体格指数、空腹時血糖、運動量、喫煙の有無、中性脂肪、HOMA-IR、総コレステロール、γ-GTPおよび糖尿病の家族歴)で補正後、毎日の水分の摂取量に関する高血糖症のオッズ比を求めたところ、0.5L以下の水分摂取量群を1.0とした場合、0.5〜1.0L群で0.64(95%信頼区間:0.49-0.83、p=0.003)、1.0L以上群で0.73(同:0.55-0.97、p=0.003)だった。さらに1日当たりのビール、甘味飲料およびワインの自己申告消費量で補正した後のオッズ比を求めたところ、0.5L以下の水分摂取量群を1.0とした場合、0.5〜1.0L群で0.68(95%信頼区間:0.52-0.89、p=0.016)、1.0L以上群で0.79(同:0.59-1.05、p=0.016)となり、同様の結果が得られた。
これらの結果から演者らは、「水分摂取量が多い人では、高血糖症の発症リスクは低いことが示唆された」と結論した。その上で、この関係はバソプレシン値が介在するものなのか、また水分の摂取を増加させるような指導をすると高血糖が防げるのかなどについては、今後さらなる研究が必要であると指摘した。
(日経メディカル別冊編集/学会ダイジェスト:第47回欧州糖尿病学会より)
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ダイエット清涼飲料の飲みすぎは禁物、胴囲の増加が飲まない人の・・・・
2012/4/9
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ダイエット清涼飲料を1日2本以上飲んでいる人は、胴囲の増加が飲まない人の6倍に達していることが報告された。サンアントニオ長寿高齢化研究(SALSA)により明らかになったもので、テキサス大学サンアントニオ健康科学センターのSharon P Fowler氏らが、6月24日から米サンディエゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。
カロリーゼロをうたうダイエット清涼飲料の消費は、肥満やメタボリック症候群および糖尿病の発症増加と関係していると言われてきた。演者らは、これらの関係を検証するため、サンアントニオ長寿高齢化研究(San Antonio Longitudinal Study of Aging ;SALSA)の参加者を対象に、ダイエット清涼飲料の消費が胴囲に及ぼす影響を調べた。胴囲は、内臓脂肪の指標であり、また糖尿病や心血管疾患、癌および他の慢性疾患の主たる危険因子として広く使われている。
対象は、SALSA参加者のうち、登録時にダイエット清涼飲料の消費に関するデータを収集できていた384人。これを1日当たりのダイエット清涼飲料の消費量ごとに、0本、0.5本未満、0.5〜1本未満、1〜2本未満、2本以上の5群に層別化して、解析を行った。人種、教育水準において一部に有意差が見られたほかは、それぞれの対象群は同様の背景であった。
登録時から平均3.6年間隔で3回のフォローアップ検査を行い、身長、体重、胴囲およびダイエット清涼飲料の消費量について変化を追った。データは共分散分析(ANCOVA)を用いて解析し、各群の平均胴囲変化を全てのフォローアップ期間で比較した。なお、結果は、性別、登録時の胴囲、年齢、人種、教育水準、地域、余暇時の運動、糖尿病、喫煙状態およびフォローアップ期間の長さで補正した。
計9.6年追跡した結果、全体で見ると、ダイエット清涼飲料の消費群は、胴囲が2.11±0.33cm増加していたが、非消費群では0.76±0.24cmの増加にとどまっていた(p<0.01)。また、ダイエット清涼飲料消費と胴囲の変化の間には、正の関係が確認された(p<0.001)。各群でみると、毎日2本以上のダイエット清涼飲料を飲んでいる群では胴囲が平均4.74cm増えており、飲まない人の6倍に達していた(p<0.001)。
今回の結果をもとに演者らは、「加糖飲料の消費を減らそうという努力は、ダイエット飲料の消費拡大につながっている。しかし、今回の結果は、ダイエット飲料の消費拡大に思わぬ落とし穴があることを示した」と結論。その上で、「カロリーを減らすためにダイエット炭酸飲料の消費を促すことは、必ずしも賢明な対策とは言いがたい。カロリーはゼロかもしれないが、もたらす結果は期待通りではない」などと指摘した。
(日経メディカル別冊編集・学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会より)
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キウイ3個の方がリンゴ1個よりも血圧を・・・・
2012/4/7
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キウイを1日3個食べる方がリンゴを1日1個食べるよりも、24時間自由行動下血圧が改善されることが報告された。ノルウェーOslo University HospitalのMette Svendsen氏らが、フロリダ州オーランドで開催された第84回米国心臓協会・学術会議で発表された。
血圧は言うまでもなく心血管疾患の独立したリスク因子であり、収縮期血圧をわずか3mmHg低下させただけでも、脳卒中死亡率が約8%低下するという報告がある。また、DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)研究では、野菜や果物、低脂肪乳製品の摂取量の増加は、血圧を減少させることが示された。しかし、どの野菜、果物がより適しているのかは明確になっていない。
そこで、Svendsen氏らは抗酸化物質の黄色色素ルテインを多く含むキウイとそうでないリンゴの比較を試みた。方法としては、他の食事内容は変えることなく、1日当たり3個のキウイあるいは同1個のリンゴを8週間にわたり毎日食べてもらい、24時間自由行動下血圧の変化を調べた。なお、キウイ3個とリンゴ1個は重量がだいたい等しくなる個数だ。
抗酸化量を100g当たりのFRAP(ferric reducing antioxidant power)で測定したところ、この検討を実施した9月だと、キウイは1.03mmol、リンゴは0.16mmol、10月はそれぞれ0.79mmol、0.10mmolと、キウイはリンゴのほぼ6〜8倍多かった。
検討対象は、収縮期血圧135〜150mmHg、拡張期血圧85〜99mmHgのいずれかあるいは両方を満たす35〜69歳の118人。1日3個のキウイを摂取するキウイ群(58人)と1日1個のリンゴを摂取するリンゴ群(60人)に無作為に割り付けた。患者背景はキウイ群が男性22人、女性36人、BMIは25.6±3.2kg/m2、血圧140±9/90±6mmHg、リンゴ群が男性28人、女性32人、BMIは26.4±3.2kg/m2、血圧138±10/88±6mmHgだった。その後、キウイ群で2人、リンゴ群で1人が脱落した。
8週間後、24時間自由行動下収縮期血圧をみると、キウイ群がベースラインに比べ1.1mmHgの減少、リンゴ群が2.5mmHgの増加で、両群の差は3.6mmHg(95%信頼区間[CI]:0.6-6.6、P=0.017)と、キウイ群の方が血圧は有意に改善していた。同じく拡張期血圧はそれぞれ0.2mmHgの減少、1.7mmHgの増加で、両群の差は1.9mmHg(95%CI:0.1-3.7、P=0.040)で有意差が認められた。
これらの結果からSvendsen氏は、「1日当たり3個のキウイを摂取した方が1日当たり1個のリンゴを摂取するよりも、24時間自由行動下血圧が改善する」と結論した。加えて、キウイを降圧治療のためのDASH食や他の食事療法に組み込むことを検討すべきだとの見解を示した。
(日経メディカル別冊編集:学会ダイジェスト:第84回米国心臓協会・学術集会より)
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よく噛んで食べるとGLP-1やPYY値が上昇、肥満の人でも・・・・
2011/10/8
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よく噛んで食事をすることで、あまり噛まないで飲み込む“早食い”に比べ、食後の血中グルカゴン様ペプチド(GLP-1)値とペプチドYY(PYY)値が上昇することが、肥満の人でも確認された。これは、奥羽大学薬学部(福島県郡山市)の斉藤美恵子氏らが行った試験で明らかになったもので、9月12日から16日までリスボンで開催される欧州糖尿病学会(EASD2011)で、共同研究者である衛藤雅昭氏が発表した。同氏らの研究グループは、昨年の同学会で、健常人を対象にした同様の試験を行い、よく噛んで食事をした場合にGLP-1値とPYY値がより増大するという結果を発表していた。
GLP-1は、小腸下部のL細胞から分泌され、血中グルコース値に応じてインスリン分泌を促進する。一方でPYYは、視床下部に働きかけて食欲を抑制することが知られている。そのため両者は、血糖値や中性脂肪、体重のコントロールに重要な役割を果たしていると考えられている。ところが、咀しゃく回数と食後の血中GLP-1値・PYY値に関する研究を発表したのは、同研究グループが初めてという。
同研究グループは、BMIが25超の9人(男性5人、女性4人)を対象に試験を行った。被験者の平均年齢は40.7歳、平均のBMIは27.2、血糖値は99mg/dLだった。被験者は、12時間絶食後、翌朝に試験食を20分かけて食べ、食前と食後1時間の時点で、血中GLP-1値とPYY値の測定を行った。
試験食は、パン、マーガリン、ゆで卵、蒸した野菜、バナナと牛乳で、蛋白質16%、脂肪32%、炭水化物52%を含む総カロリー630kcalのものだった。
被験者は、一口分の食べ物を5回噛んで飲み込む方法と、一口分を30回噛む方法で、それぞれ別の日に試験食を食べた。斉藤氏によると、普通の速度で食べた場合、一口の咀しゃく回数はおよそ7〜8回で、5回の咀しゃくは、“早食い”のような食べ方だという。
食前・食後の血中GLP-1値とPYY値について比較したところ、咀しゃく5回群では、血中PYY値は食前が35.8pg/mL、食後が41.3pg/mLへ上昇したのに対し、咀しゃく30回群では、血中PYY値は食前が35.7pg/mL、食後は65.9pg/mLへとより大幅に上昇し、食後血中PYY値は5回群より有意に高値だった(p<0.01)。
血中GLP-1値でも同様で、咀しゃく5回群では、食前の4.6pmoL/Lから食後16.9pmoL/Lへ上昇したのに対し、咀しゃく30回群では食前5.1pmoL/Lから食後29.3pmoL/Lへとより大幅に上昇し、食後血中GLP-1値は5回群より有意に高値だった(p<0.01)。
一方、食後の血糖値やインスリン値の上昇については、両群で有意差はなかった。
発表後、会場からの、「なぜ咀しゃく回数を30回としたのか」との問いに対し、衛藤氏が「日本の厚生労働省が、肥満予防対策として一口30回噛むことを推奨している」と答えると、登壇した司会者は、「我々の国でも、祖母が子供や孫に対してゆっくり食べるように言ってきたが、具体的な数字は欠けていた。良いアドバイスをありがとう」と結び、会場の笑いを誘った。
斉藤氏は、「次の試験は、糖尿病患者を対象に行い、同様な結果を得たい」と語った。
(日経メディカル別冊編集/学会ダイジェスト:第47回欧州糖尿病学会より)
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糖尿病患者の初期アルツハイマー病、低血糖症とインスリン抵抗性が発症に・・・
2011/8/15
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2型糖尿病患者の初期アルツハイマー病の発症に、低血糖症とインスリン抵抗性が関与していることが報告された。アルツハイマー病の初期診断に利用されている早期認知症診断支援システム(VSRAD)を用いた研究の成果で、藍野病院(大阪府茨木市)の吉田麻美氏らが、6月28日まで米サンディエゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。
吉田氏らは、2型糖尿病患者においてアルツハイマー型認知症の合併を予防する方策を検討するため、海馬傍回萎縮の進行度と関連する臨床指標を明らかにする検討を重ねている。これまでに、アルツハイマー病の初期症状である海馬傍回の萎縮と関係する危険因子として、低血糖や内臓脂肪型肥満(内臓脂肪面積100cm2以上)があることを報告している。今回は、さらに症例数を増やして検討を重ねた。
対象は同病院に通院中の2型糖尿病患者181人。在宅管理が可能な60歳以上で、男性87例、女性94例だった。年齢は69.0±9.3歳。HbA1c(JDS値、以下同)は6.0±1.2%だった。全症例を対象に、VSRADを用いて海馬傍回の萎縮度を測定し、萎縮の度合いで4つのグループに分けて検討した。同時に、肥満度や内部肥満、インスリン抵抗性、糖・脂質代謝、糖尿病合併症などとの関係も調べた。
海馬傍回の萎縮度は、関心領域における正のZスコアの平均値で求め、0〜1を「萎縮がほとんどみられない群」、1〜2を「萎縮がややみられる群」、2〜3を「萎縮がかなりみられる群」、3以上を「萎縮が強い群」とした。
登録時から3年後までの萎縮度をみたところ、「ほとんどみられない群」は81人、「ややみられる群」は60人、「かなりみられる群」が19人、「強い群」が21人だった。
「ほとんどみられない群」と萎縮度が1超の3群合計で比較したところ、萎縮の大きい患者の方で有意に、年齢が高い(71.8±8.2歳 対 64.9±8.8歳、p=0.012)、体格指数が大きい(25.5±3.6 対 23.6±3.6、p=0.022)、食後2時間血糖値が高い(221±69 対 179±46mg/dL、p=0.0061)、HOMA-R値が大きい(3.2±4.0 対 1.25±1.25、p=0.0037)ことが特徴として浮かび上がった。
この両群で、糖尿病の罹病期間、HbA1c、空腹時血糖、血圧、LDL、HDL、中性脂肪、クレアチニン、および尿酸値には差は見られなかった。
萎縮が大きい群ほど有意に、患者の低血糖症の発症率が高く(3回以上/月)、内臓脂肪型肥満の有病率が高かった(p<0.05)。なお、萎縮と糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、さらに脳血管疾患、冠動脈疾患、閉塞性動脈硬化、高血圧、脂質異常症、および喫煙との間には有意な関係は見られなかった。
これらの結果から演者らは、「低血糖症とインスリン抵抗性が糖尿病患者における初期のアルツハイマー病発症と関係があることを示唆している」と結論した。その上で吉田氏は、「2型糖尿病におけるアルツハイマー病発症を予防するためには、低血糖およびインスリン抵抗性に留意した血糖コントロールとその維持が重要である」とした。また、低血糖と同様に、内臓脂肪型肥満も萎縮進行の危険因子である点にも留意すべきと指摘した。
(日経メディカル別冊編集・学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会より)
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2型糖尿病患者における高血糖は基礎高血糖と食後高血糖に分かれ、それらの寄与度は若年者と高齢者で・・・
2011/8/12
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2型糖尿病患者における高血糖は、24時間にわたり健常者に比べ血糖上昇がみられる基礎高血糖(BHG:basal hyperglycemia)と、食後高血糖(PPHG:postprandial hyperglycemia)の2つの要素で構成される。個々の患者において、どちらの要素がその患者の高血糖の原因として大きいのかを知り、それに応じた薬剤を組み合わせることによって、より効果的な治療が可能となる。米ボストンJoslin Diabetes Center and Beth Israel Deaconess Medical Center のMedah Munshi氏らは、若年患者と高齢患者ではBHGとPPHGが高血糖に寄与する割合が異なり、適切な血糖コントロールを得るためには、年齢によって異なる治療戦略が必要である可能性を指摘した。6月28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。
血糖コントロール良好な2型糖尿病患者では、コントロール不良な患者よりもPPHGが高血糖に大きく寄与しているとされている一方、コントロール不良の患者においては空腹時高血糖やBHGが大きく寄与しているとされている。しかし、患者の年齢によって、BHGやPPHGの寄与度が異なるかどうかは、明らかにされていなかった。
Munshi氏らは、成人2型糖尿病患者を対象とする第III相またはIV相のプロスペクティブ無作為化比較試験の中から、インスリングラルギンを中心とした6つの臨床試験(Gerstein 2006、Munshi 2003、Standl 2006、Janka 2005、 Bretzel 2008、Yki-Jarvinen 2006 )を解析した。これらの試験では、空腹時血糖値100mg/dL以下を目標に、インスリンの至適用量を週に1回は調節することとされていた。
これらの登録患者のうち、登録時と24週後において、朝昼晩3食の前後と就寝時の7点における自己血糖測定値のデータが揃っていた1699人を抽出、65歳未満の若年患者群(平均年齢54.8歳、1190人)と65歳以上の高齢患者群(同70.1歳、509人)について、高血糖に対するBHGとPPHGの寄与する割合と、低血糖発作の頻度を解析、比較検討した。基礎高血糖は血糖値の推移を示すグラフ上の朝食前における血糖値100mg/dLと空腹時血糖値の差とし、食後高血糖は朝食前の空腹時血糖値以上の部分とした。そしてピアソン相関解析によって高血糖あるいはHbA1cに対する基礎高血糖の寄与度を算出した。
対象患者の1026人(60.4%)がインスリングラルギンを投与されており、140人(8.2%)が経口血糖降下薬による強化療法、235人(13.8%)が中間型インスリン(NPH)、139人(8.2%)が混合型インスリン、159人(9.4%)が超速効型インスリンを投与されていた。
登録時における高血糖へのBHGの寄与度は対象者全体では78%だった。そのうち、高齢患者群では75%であったのに対して、若年患者群では79%と有意に高かった(p<0.01)。
グラルギンによる24週間の治療によって、HbA1c値は、両群ともに1.6%低下し、朝食前の空腹時血糖値は、若年患者群で71mg/dL、高齢患者群で64mg/dL低下した。24週後におけるBHGの寄与度は、両群ともに低下していたが、若年患者群(寄与度45%)では、高齢患者群(同38%)と比較して高かった(p<0.01)。
若年患者群におけるBHGの寄与度は、登録時(r=0.08、p<0.01)、24週後(r=0.06、p=0.03)ともに、HbA1c値と相関していた。一方高齢患者群では、登録時(r=0.05、p=0.26)、24週後(r=0.03、p=0.48)ともに、HbA1c値との有意な相関は認められなかった。またPPHGは、いずれの患者群においても、HbA1c値と相関していなかった。
治療期間中に748人の若年患者(63%)、287人の高齢患者(56%)で、1回以上の症候性低血糖発作が認められた。測定値で確認された低血糖(50mg/dLまたは70mg/dL未満)や、夜間における低血糖の訴えは、若年患者で多かったが、両群間に有意差はなかった。
以上のように、若年患者、高齢患者の高血糖については、いずれも治療開始24週後に比べて登録時においてBHGの寄与度が高かった。しかし、高齢患者においては、若年患者と比較してBHGの寄与度が比較的少なかった。Munshi氏らはこれらの成績について「グラルギンをはじめとしたインスリン治療は,年齢を問わず高血糖への寄与度が高い基礎高血糖を大幅に改善することが示された。一方で、高血糖におけるBHGおよびPPHGが寄与している割合が、若年患者と高齢患者で異なることから、良好な血糖コントロールを得るためには、年齢に応じた治療戦略が必要であることが示唆された」と結論した。
(日経メディカル別冊編集・学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会より)
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夜の高血糖と朝の低血糖の予防が重要――ACCORD試験の自己モニター血糖値の・・・・
2011/8/12
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夜の高血糖と朝の低血糖の予防が重要であることが、ACCORD試験の自己モニター血糖値の解析から明らかになった。2008年に発表されたACCORD試験では、標準療法群と比較してHbA1cを正常値にすることを目標とした強化療法群で2型糖尿病患者の死亡率が増加することが示された。今日までACCORD試験での血糖管理については、HbA1c値、空腹時血糖値および報告のあった重度の低血糖症で特徴付けられてきた。Wake Forest大学のRichard Bergenstal氏らは、今回初めて血糖管理の自己モニター血糖値(SMBG)を解析し、その結果を6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)のセッション「Late Breaking Clinical Studies」で発表した。
演者らは、少なくとも180日間のSMBGデータがあるACCORD参加者のデータを収集した。1万251人の登録者の中で、ACCORD試験参加施設77カ所のうち50カ所の4332人のデータを抽出し分析した。ACCORDのSMBGコホートの患者背景は、適切なSMBGデータを持たない5919人と比べても臨床的になんら違いはなかった。
解析の結果、SMBGコホートは平均2年間のSMBGデータがあり、強化療法群で1日当たり2.7±1.1回、標準療法群で2.0±0.8回(p<0.0001)の血糖値の検査を行っていた。また、平均SMBG血糖値は、強化療法群で124.9±22.8mg/dL、標準療法群で156.8±23.7mg/dLと強化療法群が有意に低かった(p<0.0001)。24時間のSMBGの推移をみると、強化療法群は全ての時点において、標準療法群より血糖値が低かった(p<0.0001)。強化療法群と標準療法群のSMBGのパターンは、午前4-6時で最低値、夜遅い時間で最高値を示し、両群で似ていた。
また、強化療法群では標準療法群に比べ70mg/dL以下の値が3倍、140mg/dL以上の値が半分あることも分かった (p<0.0001、両方とも)。
結論として、ACCORD試験におけるSMBGデータは、強化療法群の方が標準療法群に比べて、より多い回数でモニターしていた。また、SMBG値の平均が低く、頻度としては8.2%と少ないものの70mg/dL以下の値が標準療法群の2.6%より有意に多かった。演者らは、これらの結果から「24時間血糖値プロファイルは、夜の高血糖と朝の低血糖の予防が重要であることを示している」と結論した。その上で「ACCORD試験のSMBGデータをさらに解析することは、試験のアウトカムを理解するのに役立つであろう」と指摘した。
(日経メディカル別冊編集・学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会より)
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軽度の圧迫靴下で糖尿病患者の下肢の浮腫が・・・
2011/8/11
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糖尿病患者の下肢の浮腫対策として、軽度の圧迫靴下の着用を試みたところ、浮腫が軽減できることが示された。米Rosalind Franklin大学のStephanie C.S.Wu氏らが、6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米糖尿病学会(ADA2011)で発表した。
糖尿病患者では下肢の浮腫を併発することがよくあり、それが潰瘍あるいは感染症につながる危険がある。圧迫治療が浮腫の標準治療であるが、糖尿病患者の50%は併存疾患として末梢動脈障害を持っているため、圧迫治療は禁忌であることが多い。このため、演者らは、軽度の圧迫圧(18〜25mmHg)をもたらす治療用靴下(Sigvaris社製)を利用することで、血管に悪影響を及ぼさないで糖尿病患者の浮腫を軽減することができるかどうかを評価した。
試験には14人(男性7人、女性7人)が参加した。患者背景は、平均年齢62±10歳、糖尿病で下肢の浮腫があり、足関節上腕血圧比(ABI)が0.6以上であった。被験者の靴下の大きさをメーカーの指示に従い測定し、被験者には起きている間は靴下を着用するように指導した。フォローアップを1週間ごとに連続して4週間行った。浮腫は足の中間部、足首とふくらはぎのそれぞれの周囲長、および間質液の測定値で定量化した。血管状態はABIにより追跡した。
反復測定の共分散分析法とLSD事後解析法を用いてデータを分析した。その結果、ふくらはぎの周囲長はたった1週間で統計的に有意に1.4±0.4cm減少した。試験中を通して常に有意に(p<0.05)、登録時よりも小さい値であった。観察期間の経過とともに、足の周囲長は緩やかに減少し、3週後と4週後で登録時よりも有意に小さい値となった(減少値は順に1.3±0.4cm、1.2±0.4cm)。足首の周囲長の平均と間質液値の平均とは、一貫して減少傾向(4週後までに順に、1.9±0.4cm、1.9±1.0)にあったが、統計的に有意ではなかった。ABIは3週目でのみ有意(p=0.01)に登録時より変化(0.16±0.05の増加)が見られた。ABIは3週目のみで登録時よりも変化があり、その時点ではABI値は上昇したが、この点について演者らは「上肢(腕)よりも下肢(脚)への血流が増加したことを示している」と考察している。
演者らは「今回は初期的な試験であったが、軽度の治療用圧迫靴下は、糖尿病患者の下肢浮腫の軽減に役立つことが示された」と結論した。また、利用した靴下は下肢の血管状態に支障をきたさないようであったとし、今後は症例数を増やしてさらに検討を加える意向だ。
(日経メディカル別冊編集・学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会より)
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前糖尿病患者の早期スクリーニングに7つの質問からなる簡易テストが・・・
2011/8/9
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簡単な質問で構成されるスクリーニングテストが前糖尿病患者、および未診断糖尿病患者の早期発見に有効であることを、6月24日から米サンディエゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2011)で、米ジョージア州アトランタにある米疾病予防管理センター(CDC)のKai Mckeever Bullard氏が発表した。
1995年にHermanらが開発したスクリーニングテストが、糖尿病と診断されていないハイリスク患者の検出に有効かを検討した。データの抽出には2007〜2008年のNational Health and Nutrition Examination Surveyを使用。20歳以上で糖尿病既往歴のない人のうち、糖負荷後2時間値(2hPG)、空腹時血糖値(FPG)、HbA1c値の3つのデータを有する1762人を対象とした。
スクリーニングテストは、出産時の体重が9ポンド以上の子を出産した経験がある(1点)、兄弟の糖尿病歴(1点)、両親の糖尿病歴(1点)、身長に対する標準体重より重い(5点)、65歳以下でほとんど運動しない(5点)、年齢が45歳〜64歳(5点)、65歳以上(9点)――の計7つのスコアを合計するもの。一方、対象者を2hPG、FPG、HbA1cの3つの検査値のいずれかによって糖尿病かどうか診断したところ、有病率は58%となった。
これらの結果を元にスクリーニングテストの感度および特異度を求めたところ、カットオフスコア値が9点のとき、それぞれ66%(95%信頼区間:0.63-0.69)、70%(95%信頼区間:0.66-0.73)で最大となった。AUCは72.8%だった。
Kai Mckeever Bullard氏は、「前糖尿病、または診断されていない糖尿病患者の識別に、今回用いたスクリーニングテストが有効であることが分かった。ハイリスクの患者を識別するには、カットオフ値をスコア9点以上とするとよいだろう」とまとめた。
(日経メディカル別冊編集・学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会より)
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秋山さん
糖尿病と上手に付き合う、母が通っている病院の先生も同じ言葉を言っていましたが、わたしたちはなんだか違うなと思ってました。ただ何が違うのか、どのように表現したらよいかがわからなかったのですが、このメルマガを読んで分かったような気がしました。「くたばれ!」という気持ちだったんですね。私の大切な母を苦しめる糖尿についてもっと勉強して、絶対に治してやりたいと思います。
Iさん
糖尿病の情報は難しいものが多いですが、これは分かりやすい。糖尿病を我々の敵にたとえているのもおもしろい。病気とは闘うものなんだと改めて思った。これからもよろしく。
相澤さん
血糖値が高いことを砂糖水の法則と書いてましたね。本当にその通りだとうなずきながら読みましたよ。
太田さん
分かっているようで分かっていなかったことが、これを読んで本当に分かった。
Yさん
みんな同じようなことで悩んでいることが分かって安心しました。
Oさん
私は糖尿病ではないのですが、父がそうです。勉強して少しでも教えてあげたいと思い、いつも楽しく読ませていただいてます。とくに今回は笑っちゃいました。話が固くなくてわかりやすいですね。これからもユーモアを織り交ぜながら、ためになるお話を期待してます。
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