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糖尿と感染症について

糖尿病にかかったとき、特に注意しなければならないのが合併症です。糖尿病にはさまざまな合併症の危険があるため、その予兆を見逃さないようにしなければなりません。 糖尿病の合併症で危険なものとしては、心筋梗塞や脳梗塞などがあげられます。これらは突発的に発生し、なおかつ命の危険があることから恐れられています。しかし、糖尿病の合併症の中にはもっと身近であり、気をつけなければならないものがあります。その合併症とは、感染症です。 そこで今回は、糖尿病と感染症についてご紹介します。

感染症を軽く見ると、大変なことに!!

上述したように、糖尿病の合併症の中でも注意すべきなのが感染症です。感染症とはその名のとおり、自分以外の別のものから感染することで発症する病気のことをいいます。感染元は細菌やウィルス、カビといった病原菌です。こうした病原菌によって、「肺炎」「膀胱炎」「腎盂炎」「胆嚢炎」「歯肉炎」「風邪」といった感染症が引き起こされます。
こうした感染症は、糖尿病でなくともかかる可能性はあります。しかし、糖尿病の場合はこれらの感染症に対して「かかりやすい」「重症化しやすい」「治りにくい」といったリスクがあるのです。こうしたリスクがあることによって、感染症の脅威度は大きく高まります。
ではなぜ、糖尿病では感染症に対するリスクが高まるのか。これには、高血糖状態が関係しています。

高血糖になると、感染症に対抗するための防御機構に大きな変化が生まれます。
ひとつは、免疫力が低下するということです。体に病原菌が侵入すると、それに対する抗体が作られます。この抗体によって次に同じ病原菌が侵入することを防ぎ、その抵抗力のことを免疫力といいます。高血糖状態になるとこの免疫力が低下するため、病原菌の侵入を防ぐことが難しくなります。
白血球の機能の低下も、感染症に対するリスクの増大につながります。高血糖状態では白血球、特に侵入してきた異物を食べる働きがある好中球の機能が低下します。これにより、侵入してきた病原菌を排除することが難しくなるのです。
また、高血糖になると血管障害が起こりやすくなります。毛細血管が詰まるなどして血流が悪くなると、十分な酸素・栄養を体中の細胞に届けることができなくなり、体力や回復力が低下します。
こうしたことから、糖尿病患者は「かかりやすい」「重症化しやすい」「治りにくい」という感染症のリスクを抱えているのです。
なお、糖尿病の合併症のひとつに神経障害があり、これに陥ると痛みに鈍くなる、あるいは感じなくなることもあります。ケガに気づかないことも増えるため、傷口から細菌が侵入する可能性があるのです。神経障害の兆候がある場合、さらに注意が必要であるといえます。

どんな感染症に気をつけるべき?

感染症といっても、その種類はさまざまです。その中でもまず注意すべきは、皮膚病だとされています。糖尿病に関する研究の結果、糖尿病患者の約30%が何らかの皮膚病の罹患歴があることが分かっているからです。「肌のトラブルが頻繁に起こる」「かゆみがひどい」など、いつもとは違う肌の状態に疑問をもったことから糖尿病が発覚するケースもあります。
こうしたことから、糖尿病と皮膚病の間には深い関係があるといえます。
糖尿病での皮膚病は全身で発生するものですが、特に皮膚が薄い唇や陰部といった場所でよく発生する傾向があります。そうしたことも踏まえて、以下に糖尿病でかかりやすい皮膚病についてご紹介します。

・皮膚そう痒症
皮膚のかゆみのことを、病名としては皮膚そう痒症といいます。虫刺されなど何らかの原因があってかゆみが生じるのではなく、皮膚表面に何もできていないにもかかわらずかゆみが生じます。
皮膚そう痒症の原因は、皮膚の乾燥です。糖尿病によって高血糖状態になると、細胞が水分を吸収しにくくなり、皮膚が乾燥しやすくなります。加えて、自律神経障害によって発汗の異常が起こり、あまり汗をかかなくなることもあります。こうしたことから、皮膚そう痒症が発症します。皮膚そう痒症を発症した場合、入浴後に乳液などで保湿をしっかり行うことでかゆみを改善することができます。

・水虫
水虫の原因はカビの一種である白癬菌(はくせんきん)であるため、これも皮膚の感染症のひとつです。水虫は主に足で発症しますが、糖尿病の場合は菌が広がる範囲が大きくなり、全身に広がる可能性があります。また、重症化することも考えられるため、十分に注意が必要です。

・カンジダ症
カンジダ症は、カンジダという真菌によって引き起こされる感染症です。
口腔内や性器に発症することが多く、発症する場所によって皮膚カンジダ症、口腔カンジダ症、性器カンジダ症などと呼ばれています。通常は抗真菌剤による治療で1〜2週間程度で治まりますが、糖尿病の場合は完治までに数カ月かかります。

・細菌感染症
細胞感染症は、化膿する菌に感染することで皮膚にできものができる病気です。糖代謝の以上にカンジダ症と同じく治療には抗真菌剤を用い、糖尿病の場合は完治まで数カ月を要します。また、糖尿病の場合は重症化しやすく、頭部乳頭状皮膚炎という化膿性の炎症を引き起こすこともあります。傷口から入り込んだ細菌が真皮や皮下脂肪にまで達し、そこで炎症や化膿を起こします。赤みや腫れ、痛み、高熱といった症状が現れ、放っておくと細胞の壊死が起きる危険な病気です。

上述した皮膚病は、糖尿病でなくても発症する可能性があります。そういったものとは別に、糖代謝異常が原因で引き起こされる糖尿病特有の皮膚病もあります。

・デュピュイトラン拘縮
デュピュイトラン拘縮とは、手のひらにコブのようなものができ、皮膚がひきつれることで指が伸ばしにくくなる症状のことです。コブのようなものは、手掌腱膜という皮膚の下にある膜が縮むことで発生します。デュピュイトラン拘縮では、周囲の血管や神経を巻き込んで縮んでいきます。小指と薬指で発生しやすく、場合によっては手の甲側などの結節を合併することもあります。

・糖尿病性浮腫性硬化症
糖尿病性浮腫性硬化症は、首の後ろから肩、背中にかけての皮膚が硬くなる病気です。肩こりによく似た症状ですが、糖尿病性浮腫性硬化症に筋肉は関係ありません。そのため、湿布や消炎鎮痛剤などを利用しても効果はありません。糖尿病歴が長いほど発症しやすく、血糖コントロールが改善されない限りは症状も治まりません。

・糖尿病性潮紅
糖尿病性潮紅とは、顔や手足などが赤くなる症状のことです。高血糖状態となることで抹消の細い血管がダメージ受け、それによって赤くなります。

・糖尿病性水疱
糖尿病性水疱は、いわゆる水ぶくれのことです。一般的に水ぶくれや火傷や摩擦などによって発生しますが、糖尿病性水疱はこうした外的要因にかかわらず発生します。水疱に対して適切な処置を行えば、大きな問題にはなりません。しかし、適切な処置を施さずに放っておくと、細菌が繁殖します。最悪の場合は水疱ができた部分で血液が循環せず、患部が壊死します。

 

糖尿病を患うと細菌が増殖しやすい環境となり、皮膚病を発症するリスクが高まります。また、高血糖状態になることで体内の血流が滞り、肌の新陳代謝に必要な栄養素や酸素がうまく供給されないことから、皮膚病がなかなか治りづらくなります。顔や手など目につきやすい場所で発症すれば人目が気になり、精神的な負担になることもあります。重症化すると危険な病気もあるため、糖尿病を患っている場合は皮膚病にも要注意です。

皮膚病だけじゃない!注意すべき尿路感染症

上述したように、糖尿病を患っている場合は皮膚病に注意する必要があります。加えて気をつけるべきなのが、尿路感染症です。尿路感染症の中には自覚症状が現れにくいものもあり、症状が悪化するケースも少なくありません。
尿路感染症の特徴として、男女での発症率の違いがあげられます。男性と女性では女性のほうが発症率が高く、これには尿道の長さが関係しています。女性の尿道は、男性の尿道に比べて短くなっています。そのため、入口付近で増殖した菌が尿道を通り、膀胱に達することが多くなるのです。そのため、女性のほうが尿路感染症を発症しやすいとされています。加えて、男性と女性では糖尿病による影響にも違いが現れます。男性の場合、糖尿病を患っているかどうかで尿路感染症の発症率はそう大きく変わりませんが、女性の場合は糖尿病を患っていると発症率が2倍〜3倍にもなります。
糖尿病患者の尿路感染症は、糖尿病を患ってからの期間が長いほど発症しやすいとされています。また、網膜症や自律神経障害を発症している場合にも、尿路感染症を発症しやすいといえます。

尿路感染症は大きく分けて、膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎の3種類があります。
膀胱炎は特に女性が発症しやすく、急性と慢性の2種類があります。急性の場合は排尿時の痛みや頻尿、残尿感といった症状があり、場合によっては血尿や膿混じりの尿がでます。慢性の場合、急性に比べて症状が軽いことから自覚できないケースがあります。
尿道炎は、男性の場合は前立腺炎を、女性の場合は尿道膀胱炎を併発する可能性があります。淋菌が原因となるものとそれ以外とに分かれ、さらに淋菌が原因の場合は急性と慢性に分かれます。
腎盂腎炎も急性と慢性の2種類があり、糖尿病の場合は主に慢性腎盂腎炎を発症します。慢性腎盂腎炎には活動期と非活動期があり、活動期には高熱・腰の痛み・膿混じりの尿、非活動期には全身のだるさ・微熱・残尿感といった症状がみられます。
尿路感染症が進行すると、重症化すると命の危険性がある敗血症を発症する危険性もあります。

尿路感染症を予防するためには、尿を我慢しないことが大切です。糖尿病性の神経障害を伴っている場合は尿意を感じづらくなっていることもあるため、決まった時間にトイレに行くようにします。また、陰部をなるべく清潔に保つことも大切です。特に女性は尿路感染症を発症しやすいため、ウォシュレットを使うなど注意が必要です。その場合、ウォシュレットのノズルも定期的に除菌すべきです。

排尿は日常的な行為であるため、排尿が困難であったり、痛みや不快感を伴ったりすると苦痛を感じます。しかし、病院を受診することに抵抗があることも多いため、重症化することもめずらしくありません。こうしたことから、尿路感染症は注意すべき糖尿病の合併症であるといえます。


糖尿病患者はインフルエンザが重症化しやすい?

毎年冬から秋にかけては、インフルエンザが流行します。近年は新型のインフルエンザが猛威を振るっていることなどから、感染しないよう一層の注意が促されています。そんなインフルエンザは、糖尿病患者にとっても非常に注意すべき病気です。なぜなら、糖尿病や高血圧などの慢性疾患を抱えている患者は、インフルエンザにかかりやすく重症化しやすいと世界保健機構が発表しているからです。その理由としては、以下のようなものがあげられます。

・高血糖状態によって血流が悪化する
血液中の血糖値が上昇すると、血液はどろどろになります。すると、血流が悪化し、酸素や栄養素がうまく運ばれなくなることから細胞の働きも悪くなります。こうしたことから、インフルエンザの薬を飲んでも必要な場所に届くのに時間がかかり、効果がうまく発揮されなくなるのです。

・ウィルスを排除する機能の低下
血液の中には、白血球が流れています。白血球には外敵を排除する機能をもつ好中球があり、このお陰でインフルエンザウィルスにも抵抗することができます。しかし、血流が悪化していると白血球が感染部にたどり着くのが遅くなり、ウィルスを排除するのも遅れてしまいます。この結果、ダメージを受けてしまうのです。

・免疫反応の低下
人の体には、免疫反応があります。免疫反応とは、一度感染した病原菌に対して免疫を作り、次の侵入を防ぐ機能のことです。しかし、高血糖状態の場合は免疫反応が低下するため、インフルエンザウィルスが侵入しやすくなるのです。そもそもインフルエンザウィルスは変異を繰り返すことから免疫反応の効果が薄いため、免疫反応の低下が大きく響きます。

このように、糖尿病などの慢性疾患を患っている患者は、インフルエンザにかかりやすく、重症化しやすいとされています。加えて注意しなければならないのが、糖尿病のシックデイです。糖尿病患者がインフルエンザにかかると、インフルエンザが重症化しやすいだけでなく、糖尿病にも悪影響を与えます。
糖尿病におけるシックデイとは、糖尿病患者が糖尿病以外の病気にかかったときのことを指しています。非糖尿病患者の場合、風邪や感染症などにかかって寝込んだとしても水分補給して安静にしていれば回復します。しかし、糖尿病患者の場合は血糖コントロールのことを考えなければならないため、水分補給して安静にしていれば、というわけにはいきません。食欲がない場合はいつも通りの食事をする必要はありませんが、不足したカロリーは間食などで補う必要があります。インスリン注射をするためには、適切なカロリーを摂取しなければならないのです。また、血糖が高くなれば脱水になりやすくなるため、より一層水分補給に注意しなければなりません。
このように、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べてインフルエンザにかかった際の影響が大きいといえます。そのため、糖尿病患者はインフルエンザにかからないよう、より一層の予防が必要となります。

インフルエンザの予防と対策

インフルエンザの予防としては、以下のようなものがあります。

・予防接種
インフルエンザは、11月下旬から12月上旬にかけて感染が目立ち始めます。ワクチンの効果は接種後2週間程度で発揮され、5カ月程度持続するため、11月中旬までに受けておけばインフルエンザのピークに間に合います。季節性インフルエンザの予防接種は、アメリカの疾患管理・予防センターでも推奨されています。ただし、予防接種を受けたからといって必ず感染を防げるというわけではないことには注意が必要です。

・外出時は人混みを避ける
インフルエンザは、飛沫感染や接触感染によって広がります。そのため、不特定多数の人が集まる場所では感染の確率が高まります。インフルエンザの予防を考えた場合、流行の兆しがみえた後はできる限り人混みに近寄らないことが大切です。

・湿度の管理
インフルエンザが冬に流行するのは、空気が乾燥しているからです。そのため、室内の湿度を50%〜60%程度に保つことで、インフルエンザの感染をある程度防ぐことができます。

・手洗いうがい
手洗いうがいは、接触感染を防ぐために効果的な手段です。
普段から帰宅時の手洗いうがいは重要ですが、インフルエンザのシーズンにはより一層の注意が必要です。


どれほど予防に気を配っていても、インフルエンザにかかることはあります。糖尿病患者がインフルエンザに感染した場合は、次のような対策が重要です。

・主治医への連絡
上述したシックデイの関係もあるため、主治医に連絡してインスリンやほかの薬の投与について指示をあおぎます。基本的にはインスリン注射は中断しません。

・水分を十分に摂る
高血糖状態になると脱水症状に陥りやすいため、糖尿病患者はもともと水分補給をしっかり行わなければなりません。インフルエンザでは発熱や発汗によってさらに脱水の危険性があるため、水分補給は重要です。

・毎日体重を測定する
糖尿病と肥満には大きな関係がありますが、糖尿病が悪化すると逆に体重が減少します。インフルエンザの影響で糖尿病が悪化していないかの判断基準のひとつとして、体重を測定しておきます。

感染症には要注意!

今回ご紹介したように、糖尿病患者にとって感染症は十分に注意すべきものです。健康な人であれば問題ないことでも、糖尿病患者にとっては重症化することもあります。決して感染症を甘くみず、しっかりと対策をすることが大切なのです。

感染症を防ぐためには、免疫力を高めることが大切です。しかし、糖尿病になると糖の代謝異常に陥り、エネルギーをうまく生み出せないことから免疫力も低下します。
では、なぜ糖尿病では糖代謝に異常が生じるのか。近年の研究により、糖代謝の異常にはクロム不足が大きく関わっていることが分かりました。クロムは糖尿病にどういった影響を与え、またどうすればクロムを補うことができるのでしょうか。
気になる方は、ぜひ以下のコラムをご覧ください。

糖尿病の本当の原因とは?

 

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